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トレーサビリティとは?製造業での構築方法・記録設計・活用手順

トレーサビリティとは?製造業での構築方法・記録設計・活用手順

トレーサビリティとは

トレーサビリティ(Traceability)とは、製品がどのような原材料・工程・作業者・設備・検査を経て製造されたかを遡って追跡できる仕組みです。「いつ・誰が・何を・どのように」という製造履歴を記録・保持することで、品質問題発生時の迅速な原因特定・影響範囲の確定・回収対応を可能にします。

トレーサビリティはISO9001・IATF16949・食品安全(FSSC22000)・医薬品(GMP)などの品質規格で要求されるほか、顧客契約上の要件として設定されるケースも多くあります。

トレーサビリティの2つの方向

方向 内容 活用場面
トレースバック(遡及) 完成品から原材料・工程履歴を遡る 品質問題発生時の原因特定
トレースフォワード(追跡) 原材料・ロットから出荷先・在庫を追う 不良ロットの回収範囲特定

トレーサビリティの記録設計

何を記録するか(記録要素)

記録カテゴリ 記録内容
原材料・部品 仕入先・ロット番号・入荷日・検査結果・使用工程
製造工程 工程名・作業日時・作業者ID・設備ID・加工条件
検査・測定 検査日時・検査員・測定値・判定結果・使用計測器
出荷 出荷日・出荷先・数量・ロット番号・納品書番号

管理単位の選定(ロット管理 vs シリアル管理)

管理方式 特徴 適した製品
ロット管理 同一条件で製造された複数個を1ロットとして追跡 量産品・食品・薬品
シリアル管理 1個ずつに識別番号を付与して個別追跡 高額品・安全部品・医療機器

トレーサビリティの実装方法

バーコード・QRコードによる識別

製品・部品・容器にバーコードまたはQRコードを付与し、各工程でのスキャンにより記録を自動化します。手書き記録に比べて転記ミスが減少し、記録の信頼性が向上します。

ICタグ(RFID)の活用

RFIDタグは非接触・複数個同時読み取りが可能で、製品が工程を通過する際の自動記録に適しています。初期コストはバーコードより高いですが、工数削減効果が大きい場合は有効です。

製造管理システムとの連携

MES(製造実行システム)やERPとトレーサビリティ記録を連動させることで、工程別の品質データと材料情報・出荷情報を統合的に管理できます。手動入力からシステム連携への移行が記録精度と管理工数の両面で効果的です。

品質問題発生時のトレーサビリティ活用手順

  1. 問題の製品・ロットの特定:クレーム品・不良品のロット番号・製造日を確認
  2. 遡及調査(トレースバック):使用した原材料・ロット・設備・作業者を追跡
  3. 影響範囲の確定(トレースフォワード):同一ロット原材料・同一設備で製造された他製品を特定
  4. 在庫・出荷済みの確認:回収対象となる在庫・出荷済み製品の数量・出荷先を確定
  5. 関係者への通知・対応:顧客・社内・規制当局への連絡と回収対応

トレーサビリティ記録の保管期間

保管期間は製品の種類・業界規制・顧客要求によって異なります。

業界・規格 一般的な保管期間
一般工業製品(ISO9001) 最低1年〜契約に基づく
自動車部品(IATF16949) 15年以上(設計寿命を考慮)
食品・飲料(食品安全) 賞味期限+1年以上
医療機器・医薬品 GMP要件による(10〜30年)

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、品質非担当者では品質損失額を「わからない」と回答した割合が33.5%に達しており、トレーサビリティが未整備だと品質問題の影響範囲も把握できない実態があります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年5月実施、n=500)によると、Access利用者で「4Mでの原因特定」を重視する割合が34.4%(全体17.0%)に達しており、データ活用文化がある工場ほどトレーサビリティへの投資効果が高まります。

よくある質問(FAQ)

Q1. トレーサビリティは中小工場でも必要ですか?
顧客要求・業界規格で求められていない場合でも、品質問題発生時の影響範囲特定と顧客対応のスピードに大きな差が出ます。最低限ロット番号と製造日の記録から始めることを推奨します。
Q2. 紙の記録でもトレーサビリティとして有効ですか?
有効ですが、記録の欠落・転記ミス・検索の手間が課題です。問題発生時に数日かけて紙を追跡することになると顧客対応が遅れます。電子化による即時検索が望ましいです。
Q3. トレーサビリティの構築にどれくらいのコストがかかりますか?
バーコード管理のシステム化であれば数十万〜数百万円が目安です。既存の生産管理システムへの機能追加や、中小向けクラウドサービスの活用でコストを抑える方法もあります。
Q4. サプライヤーへのトレーサビリティ要求はどのように行いますか?
購買契約書・品質保証協定に記録項目・保管期間・提出フォーマットを明記します。受入検査時にロット番号・成分証明書・検査成績書の提出を義務づけることが基本です。
Q5. トレーサビリティ記録が「ない」と分かった場合の対応は?
即時に記録体制の整備を開始します。過去の記録が不十分な期間については、現在在庫の確認調査と出荷先への事前連絡体制を整備します。

品質記録・トレーサビリティ管理をデジタル化

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