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設備点検票の作り方:必須項目と運用のポイント

設備点検票の作り方:必須項目と運用のポイント

点検票とは、設備や機械の状態を定期的に確認するための記録用紙またはデータフォーマットです。本記事では、製造現場の設備保全で使われる設備点検票に絞り、必須項目の設計から運用時の形骸化防止、デジタル化のタイミングまでを解説します。

1. 点検票の種類と消防点検票との違い

「点検票」を検索すると、消防設備法に基づく消防用設備等の点検票が多く表示されます。しかし製造業の設備管理担当者が必要とするのは、消防法ではなく設備保全の観点から設計された設備点検票です。両者は目的・法的根拠・対象設備がまったく異なります。

区分 対象設備 目的 法的根拠
消防設備点検票 消火器・スプリンクラー・火災警報器 等 消防法への適合確認 消防法第17条の3の3
設備点検票(保全用) 生産設備・搬送設備・ユーティリティ設備 等 異常の早期発見・予防保全 法令なし(社内規定)
法定点検票 クレーン・プレス機・高圧ガス設備 等 労働安全衛生法等への適合確認 労働安全衛生法 等
精密点検票 重要設備・経年劣化が進む設備 詳細診断・更新判断 任意(社内規定)

製造設備の点検票には法的義務がないため、フォーマットの設計は各工場に委ねられています。これが「何を書けばいいか分からない」「点検漏れが多い」という現場の課題につながっています。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用の保全システムを利用している工場でも「定期点検の未実施」が突発停止の原因になっていると回答した割合が37.3%にのぼります。計画があっても実施を管理できていない状況が、多くの現場に存在します。

2. 設備点検票に記載すべき最低限の項目

設備点検票は、「誰がいつ何をどう確認したか」を記録し、後から状態の変化を追えるようにするためのものです。以下の項目を必ず含めてください。

項目名 記載内容 重要度
設備名・設備ID 台帳上の設備名と識別コード 必須
点検日時 実施した日付・時刻 必須
点検者名 実施した担当者名(サイン・押印でも可) 必須
点検項目 確認すべき箇所・内容(具体的に記述) 必須
判定基準 正常・要注意・異常の基準値・閾値 必須
判定結果 ○/△/×、または測定値を記入 必須
処置内容 異常時に実施した対応・連絡先 必須
次回点検予定日 次回の点検日付(定期点検票のみ) 推奨
備考 気になる変化・申し送り事項 推奨

記録が定着しているかどうかで、保全の質は大きく変わります。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、保全活動が体制化されている工場では「点検内容を記録している」割合が90.1%に達する一方、保全工数を把握できていない工場では21.7%にとどまります。記録の有無は、点検担当の役割が明確に定義されているかどうかに直結しています。

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3. 設備点検票の作り方5ステップ

実務に使える設備点検票を設計するには、現場の実態に合わせた手順が必要です。以下の5ステップで作成を進めてください。

ステップ1:対象設備を絞る。すべての設備に同じ点検票を用いるのは非効率です。重要度(停止した場合の影響)・使用頻度・故障履歴を基準に、点検票が必要な設備を優先度付きでリストアップします。

ステップ2:点検箇所と確認方法を洗い出す。保全担当者と現場オペレーターが一緒に設備を歩き、「どこを・何で・どのように確認するか」を実際に確認しながらリストアップします。メーカーマニュアルや過去の故障記録も参照します。

ステップ3:判定基準を数値化する。「異音がしたら×」ではなく「振動値50m/s²超で×」のように、客観的な判定基準を設けます。基準が曖昧だと記録者によって判断がばらつき、異常の見落としにつながります。

ステップ4:記録フォーマットを設計する。紙の場合は1設備・1点検サイクルにつき1枚を基本とし、A4サイズに収まるよう項目を絞り込みます。モバイル端末での入力を前提にする場合は、タップ・選択式の設計が定着のポイントです。

ステップ5:試験運用して改善する。最初から完璧なフォーマットはありません。1〜2か月の試験運用で「書きにくい項目」「判断しにくい基準」を洗い出し、現場の意見を反映させてフォーマットを確定します。

4. 形骸化させないための運用ポイント

設備点検票が「ただ書くだけ」になって実態を反映しなくなる形骸化は、多くの工場が直面する課題です。形骸化の主な原因は3つです。①点検結果が誰にも確認されない、②異常を記録しても処置につながらない、③点検票の更新が止まり古い項目のままになっている。

形骸化を防ぐには、記録→確認→処置→フィードバックの4ステップをサイクルとして仕組みに組み込むことが必要です。週次の保全ミーティングで前週の点検結果を確認し、異常判定があった場合の処置計画と完了確認を記録に残す運用が有効です。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用の保全システムを利用している工場では「定期的に点検を記録している」割合が50.0%なのに対し、システムを利用していない工場では13.5%にとどまります。記録習慣の定着にはツールの入力しやすさと参照のしやすさが継続率に大きく影響します。

5. まとめ:デジタル化で点検票の効果を引き出す

設備点検票は、誰がいつ何をどう確認したかを記録し、異常の早期発見と予防保全につなげるための管理基盤です。紙のフォーマットから始めても構いませんが、記録の検索・集計・傾向分析を継続的に行うには、デジタル化への移行が現実的なステップです。

点検票の整備は設備保全活動全体の一部です。点検活動の全体像や目的については設備点検とはの基本的な考え方も合わせて参照してください。記録の保管・蓄積方法については保全記録の整備についても確認を推奨します。

よくある質問(FAQ)

Q. 設備点検票はどのくらいの頻度で実施すればよいですか?
設備の重要度・使用頻度・故障リスクによって異なります。一般的には、日常点検(毎日または毎シフト)・定期点検(週次・月次)・精密点検(半期・年次)の3段階を組み合わせます。重要設備・高負荷設備ほど頻度を高く設定します。
Q. 消防設備点検票と設備保全の点検票は別々に管理すべきですか?
目的・対象・法的根拠が異なるため、管理は分けるのが基本です。消防設備点検は消防法に基づく資格者による定期実施が必要で、記録の保存義務もあります。設備保全の点検票は任意ですが、継続的に蓄積することで故障傾向の分析に活用できます。
Q. 点検票の項目数はどれくらいが適切ですか?
1回の点検で5〜15分以内に完了できる項目数(目安10〜20項目)が定着のポイントです。詰め込みすぎると形骸化の原因になります。重要度の低い項目は別シートに分けるか、精密点検のタイミングにまとめるのが現実的です。
Q. 判定基準を数値で設けられない設備はどうすればよいですか?
異音・振動・臭気など定量化が難しい項目は「前回との比較」で判断する方法が有効です。「前回より明らかに増加」「初めて感じた」という定性的な変化を記録する項目を設け、気になったら即エスカレーションするルールを明確にします。
Q. 紙の点検票からデジタル化するタイミングはいつですか?
設備台数が増えて紙の管理が煩雑になった時、または点検記録を活用した傾向分析・故障予兆検知に取り組みたいタイミングが切替の目安です。まずExcelでの一元管理、次に保全管理システムへの移行というステップが実務上の定番です。

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