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製造業の省エネ対策:電力・エア・蒸気の見える化と設備改善手順

製造業の省エネ対策:電力・エア・蒸気の見える化と設備改善手順

製造業における省エネの重要性

製造業のエネルギーコストは、電力・燃料(重油・ガス)・コンプレッサーエア・蒸気など多岐にわたり、売上高に占める割合は業種によって数%〜20%に達します。エネルギーコストの削減は、原価低減の中でも即効性の高い施策の一つです。また、カーボンニュートラル対応・GX(グリーントランスフォーメーション)の観点からも、工場のエネルギー消費削減は経営上の優先事項になっています。

省エネ活動が進まない最大の原因は「何に・どれだけエネルギーを使っているかがわからない」という現状把握の不足です。エネルギーの使用状況を「見える化」することが省エネ活動の出発点です。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年5月実施、n=500)によると、製造業の工場管理者のうち「設備ごとのエネルギー消費量を把握している」と回答した割合は全体の31.2%にとどまり、68.8%の工場では設備単位でのエネルギー消費が把握されていない実態が示されています。

製造業の主なエネルギー消費領域

図表1:製造業のエネルギー消費領域と省エネポイント
エネルギー種別 主な用途 省エネの主なポイント
電力 モーター・空調・照明・生産設備全般 インバーター制御・高効率モーター・LED照明・デマンド管理
コンプレッサーエア エア工具・吹き付け・搬送・駆動 エア漏れ修理・圧力の最適化・高効率コンプレッサーへの更新
蒸気・熱 加熱・乾燥・洗浄・調理(食品) 蒸気漏れ修理・断熱強化・廃熱回収・電化転換
空調・換気 工場内温度管理・換気・クリーンルーム 省エネ空調機への更新・運転スケジュール最適化・断熱改修

省エネの実践手順:4ステップ

Step1:エネルギーの現状把握(見える化)

まず工場全体・設備ごとの電力使用量を把握します。電力会社の請求書から工場全体の月間・年間電力量を確認し、次に分電盤へのサブメーター設置や簡易電力ロガーで設備ごとの消費量を計測します。コンプレッサーエアは流量計・圧力計、蒸気はスチームトラップの点検と流量計で現状を把握します。IoT電力センサーを用いたリアルタイムモニタリングシステムを導入することで、「いつ・どの設備が・どれだけ使っているか」の継続的な把握が可能になります。

Step2:省エネ改善の優先順位づけ

エネルギー消費量が多い設備・用途を特定し、投資対効果の高い順に対策を設計します。改善の優先度は「消費量が大きい」×「改善余地が大きい(効率の悪い旧型設備)」×「投資回収が短い」の3つの掛け算で評価します。コンプレッサーのエア漏れ修理・照明のLED化は初期投資が少なく即効性が高いため、最初に着手する施策として適しています。

Step3:省エネ設備への更新・改善の実施

投資対効果の高い設備から順に、省エネ機種への更新・制御の最適化を進めます。具体的な施策は「高効率コンプレッサーへの更新(消費電力20〜30%削減が目安)」「インバーターモーターの導入(負荷変動に応じた消費電力削減)」「LED照明への更新(消費電力40〜60%削減)」「省エネ空調機への更新(COP改善)」です。更新前後の消費量データを記録し、削減効果を定量的に確認します。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)によると、省エネ設備更新を「過去3年以内に実施した」工場では、年間エネルギーコストが平均12.8%削減されており、投資回収期間が3〜4年となるケースが最多であることが示されています。

Step4:省エネ効果の継続モニタリング

省エネ設備を導入しても、使い方・運転条件の変化によってエネルギー消費が増大するケースがあります。月次でエネルギー原単位(生産量当たりのエネルギー消費量)を追跡し、異常増加を早期に検出する仕組みを整備します。省エネKPIを設定し、工場全体の改善活動に組み込むことで、省エネの取り組みが継続的なものになります。

コンプレッサーエアの省エネ:特に重要なポイント

コンプレッサーは製造業のエネルギー消費の中でも特に割合が高く(電力の20〜30%を占めるケースがある)、省エネ効果の大きい重点領域です。エア漏れは「見えないエネルギー損失」として見落とされがちで、老朽化した設備では全エア供給量の20〜30%がエア漏れで失われているケースも珍しくありません。定期的なエア漏れ点検(超音波リークディテクターの活用)と修理は、投資なしに実現できる即効性の高い省エネです。また、使用圧力が必要以上に高い場合は圧力設定を下げることで消費電力を削減できます(圧力0.1MPa削減で約7〜8%の消費電力削減が目安)。

省エネ補助金・支援制度の活用

図表2:製造業向け省エネ補助金の主要制度(参考)
制度名 実施機関 対象
省エネルギー投資促進支援事業費補助金 経済産業省(METI) 省エネ設備導入・工場エネルギー管理システム
ものづくり補助金(省力化・GX推進枠) 中小企業庁 省エネ・自動化設備の導入
省エネ診断(無料) 省エネルギーセンター(ECCJ) 現状分析・省エネポイントの特定

最新の補助金情報・申請要件は各実施機関の公式サイトを確認してください。補助金は年度ごとに変更があるため、事業年度開始前の情報収集が重要です。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、省エネ補助金を「活用したことがある」製造業は全体の28.4%であり、「知っているが申請したことがない」が38.6%、「知らなかった」が33.0%という結果でした。補助金の認知・申請支援が省エネ投資加速の課題として浮き彫りになっています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 省エネの効果はどう測定すればよいですか?

「エネルギー原単位(生産量あたりのエネルギー消費量)」を主要指標として使います。生産量の変動に左右されずに省エネ効果を評価できるため、改善前後・月次の比較に適しています。電力は「kWh/生産量」、コンプレッサーは「m³/生産量」などの原単位を設定します。

Q2. 省エネと設備の生産性向上は両立しますか?

両立します。インバーター制御は設備の回転数を負荷に合わせて最適化するため、省エネと同時に設備寿命の延伸・モーター保護にも貢献します。OEE(設備総合効率)の向上は設備の稼働時間あたりの生産量を増やすため、エネルギー原単位の改善にも直結します。

Q3. 小規模工場でもエネルギーマネジメントシステムは必要ですか?

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入は規模に応じて段階的に検討します。小規模工場では、まず月次電気代の確認・サブメーターによる設備別計測・エア漏れ点検など低コストな手段から始めることが現実的です。IoT電力センサーは1台数万円から導入できるものもあり、必ずしも高額なシステム投資は必要ありません。

Q4. 省エネとGHG削減は同じですか?

省エネは使用エネルギー量の削減、GHG削減はCO2等の排出量削減です。電力の省エネはCO2排出量削減に直結しますが、燃料消費が増えればGHGは増加します。省エネとGHG削減は方向性は同じですが、再生可能エネルギーへの切り替えなど省エネ以外の手段もGHG削減に有効です。

Q5. 省エネ設備の選定で注意すべきことは何ですか?

カタログ上の省エネ率と実際の使用環境での効果は異なることがあります。実際の負荷パターン・稼働条件に近い状況でのシミュレーション・試算を行い、ベンダーのロジックを確認することが重要です。また、メンテナンスコスト・部品供給の継続性も設備選定の重要な評価軸です。

まとめ:製造業の省エネは「見える化→優先順位づけ→設備更新→継続モニタリング」

製造業の省エネは「何に・どれだけ使っているか」の現状把握から始まり、投資対効果の高い省エネ設備更新と継続的なモニタリングで効果を持続させることが基本です。コンプレッサーのエア漏れ修理・照明のLED化など、低投資で高効果な施策から着手し、補助金を活用しながら段階的に設備更新を進めることが製造業の省エネの現実的なアプローチです。省エネはコスト削減と脱炭素化を同時に達成できる、製造業にとって最も優先度の高い改善テーマの一つです。

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