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保全KPIダッシュボードの見せ方:経営報告・現場管理に使える指標設計

保全KPIダッシュボードの見せ方:経営報告・現場管理に使える指標設計

設備保全KPIとは、設備保全活動の成果・状態・改善進捗を定量的に把握するための指標(Key Performance Indicator)です。MTBF・MTTR・OEE・計画保全比率・保全費率などのKPIを設定・管理することで、保全の現状把握・改善の方向性の決定・経営への説明責任の遂行が可能になります。本記事では保全KPIの種類・設定方法・ダッシュボード設計の実務を解説します。

1. 保全KPIの主要指標一覧

KPI名 計算式・定義 改善方向性・目標水準
MTBF(平均故障間隔) 稼働時間合計 ÷ 故障件数。設備が故障せずに稼働できる平均時間 長いほど良い。計画保全の充実・根本原因対策で改善。業種・設備種別によって目標値は異なる
MTTR(平均修理時間) 修理時間合計 ÷ 故障件数。故障から復旧までの平均時間 短いほど良い。部品在庫の適正化・手順書の整備・担当者のスキル向上で改善
OEE(設備総合効率) 時間稼働率×性能稼働率×良品率。設備の理論的最大能力に対する実際の有効稼働割合 世界水準は85%以上とされる。現状把握後に月次改善目標を設定
計画保全比率 計画保全工数 ÷ 保全工数合計×100(%)。全保全作業のうち予防的な計画保全の割合 高いほど良い(突発修理の比率が低い)。60〜80%以上を目標とするケースが多い
突発停止件数・時間 月間の突発故障件数・停止時間の合計。設備別・故障種別の集計が重要 月次で推移を管理。上位設備の根本原因対策で件数・時間を削減
保全費率 保全コスト合計 ÷ 設備資産価値×100(%) 1〜5%が一般目安。高すぎる場合は設備更新・計画保全強化を検討
計画保全実施率 実施した計画保全件数 ÷ 計画件数×100(%) 90%以上を目標。実施できなかった計画の理由を記録して改善

2. 保全KPIの設定・ダッシュボード設計

設計要素 内容・ポイント
KPIの選定 全指標を一度に管理しようとすると混乱する。まず「突発停止件数・時間」「計画保全実施率」「保全費」の3指標から始め、定着後に拡張する段階的アプローチが有効
ベースラインの測定 KPI改善目標を設定する前に、現状値(ベースライン)を3〜6ヶ月分測定する。ベースラインなしの目標は根拠が弱く経営承認を得にくい
設備別の集計 全社合計のKPIだけでなく設備別・ライン別のKPIを把握することで「どの設備が問題か」が特定できる。パレート分析(上位20%の設備が80%の損失を生む)を活用
報告頻度と対象 月次:経営層への保全KPIダッシュボード報告(突発停止・保全費・OEEのサマリー)。週次:現場管理者への設備別の停止・修理状況。日次:保全担当者向けの作業指示・完了管理
ダッシュボード設計 CMMSのレポート機能またはExcelダッシュボードで月次のKPI推移グラフ・設備別ランキング・改善目標vs実績を視覚化する。経営報告は1枚のサマリー形式が効果的

3. 保全KPIを改善活動につなげる仕組み

KPIから改善課題を特定するPDCAサイクル

保全KPIは「測るだけ」では価値を持ちません。KPIが改善活動に結びつく仕組みとして①月次のKPIレビュー会議(現場担当者・工場長が参加し・悪化した指標の原因を分析)②設備別の故障原因ランキング(突発停止件数上位の設備に集中的な改善投資)③改善目標と対策の立案・進捗確認(対策の実施→KPIへの効果検証)④成果の見える化(突発停止削減・OEE向上の金額換算での可視化)のPDCAを月次で回すことが、KPIを「経営ツール」として機能させる核心です。

KPIを経営報告に活用する

保全KPIを経営層に報告する際のポイントは①停止損失の金額換算(突発停止時間×時間あたり生産損失額)②保全費と停止損失の対比(保全投資がいかに停止損失を上回る価値を生んでいるか)③改善トレンドの可視化(前年比・計画比でのKPI推移グラフ)④次年度の保全投資計画との連動(KPIデータを根拠にした設備更新・CMMS導入の提案)です。「保全は費用センター」ではなく「停止損失を防ぐ投資センター」として経営に位置づけるためのコミュニケーションが重要です。

4. 現場実態:KPI管理の実情

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用システム(CMMS等)を利用している工場で損失の「詳細把握」ができている割合は45.3%に達する一方、紙・未導入工場では4.3%にとどまります。保全KPIを正確に把握するためには、記録のデジタル化とシステムによる自動集計が前提です。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、保全非担当者で不良率KPIが「わからない」と回答した割合は32.3%に達する一方、保全担当者では12.3%にとどまります。保全KPIが部門間で共有されていないと、品質問題の設備起因部分が見過ごされ、根本対策が後手に回ります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)によると、部長層で「予知保全をTop3の保全投資に位置づける」割合は56.2%に達する一方、社長層では22.9%にとどまります。停止損失をKPIで可視化し「保全投資の効果」を経営言語で伝えることが、設備保全への経営投資を引き出すカギです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 保全KPIはどこから始めればよいですか?

保全KPIを初めて設定する工場は「突発停止件数・停止時間」「計画保全実施率」「保全費合計(設備別)」の3指標から始めることを推奨します。この3指標は①データが比較的収集しやすい②改善策と直結している③経営層にも説明しやすい、という特性があります。OEE・MTBF・MTTRは停止時間・修理時間の正確な記録が必要なため、記録体制が整ってから追加するのが現実的な順序です。

Q2. MTBFとMTTR、どちらを優先的に改善すべきですか?

MTBFとMTTRのどちらを優先するかは故障の特性によって判断します。①故障頻度が高い設備(MTBFが短い):予防保全強化・根本原因対策でMTBFを延ばすことを優先②故障は少ないが一度停止すると復旧に時間がかかる設備(MTTRが長い):部品在庫の整備・手順書作成・技能向上でMTTRを短縮することを優先③両方が課題の場合:停止時間(MTBF×頻度)で損失額を試算し、損失が大きい方を優先。両指標の改善が最終的には生産損失の最小化に直結します。

Q3. 保全KPIの目標値はどう設定すればよいですか?

保全KPIの目標値設定は①ベースライン測定(現状値を3〜6ヶ月計測)②業界・他工場の参考値との比較(ベンチマーク)③改善余地の推定(現状値と理想値のギャップ)④達成可能な年間改善率(例:突発停止を前年比20%削減)の4ステップで行います。最初から高い目標設定は現場のモチベーションを低下させるため、「今年は前年比10〜20%改善」という段階的な目標設定が継続的な改善を促します。

Q4. CMMSなしで保全KPIを管理できますか?

Excelを使った保全KPI管理は現実的に可能ですが、①データ入力・集計の工数が大きい②記録の抜け・転記ミスが発生しやすい③設備数が増えると管理が破綻する④グラフ作成・報告書作成に時間がかかる、という限界があります。設備台数が10台未満・保全担当者が1〜2人の場合はExcelでの管理から始め、設備数が増えた・記録の抜けが問題になった・KPI分析に時間がかかりすぎると感じたタイミングでCMMSへの移行を検討する進め方が合理的です。

Q5. 保全KPIを現場担当者に浸透させるにはどうすればよいですか?

保全KPIの現場浸透のポイントは①KPIの意味と改善した場合の効果を担当者に説明する(「停止を1回減らすと残業が○時間減る」「品質不良が○件減る」という具体的な結果)②担当設備のKPIを個人単位で確認できる環境を作る(担当設備の月次レポートを本人に共有)③KPIが改善した際に組織として認識・評価する仕組み(月次の改善報告・表彰・評価への反映)④測定・入力の負担を最小化する(スマートフォンでの簡単入力・自動集計)の4点です。

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