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赤外線診断(サーモグラフィ)による設備保全:実施手順と活用ポイント

赤外線診断(サーモグラフィ)による設備保全:実施手順と活用ポイント

赤外線診断とは

赤外線診断(サーモグラフィ検査)とは、設備が発する赤外線(熱放射)をカメラで映像化し、異常な温度上昇箇所を非接触・非破壊で検出する診断手法です。電気設備の接触不良・モーターの過熱・配管の閉塞・断熱材の劣化など、目視では発見できない異常を稼働中に検出できます。

赤外線診断は停止不要で実施できるため、連続稼働が必要なラインや停止コストが高い設備に特に有効です。診断結果は温度分布の映像として記録でき、過去比較・傾向管理に活用できます。

赤外線診断の主な適用対象

対象設備 検出できる異常 判定指標
電気設備(分電盤・接続部) 接触不良・過負荷・絶縁劣化 周囲比+15℃以上で要注意
モーター・インバーター 軸受過熱・コイル絶縁劣化 定格温度超過で要点検
配管・バルブ 閉塞・詰まり・断熱損傷 前後温度差での詰まり推定
蒸気トラップ 蒸気漏洩・バイパス漏れ 蒸気温度の不均一分布
建屋・断熱材 断熱欠損・冷気侵入 面的な温度ムラ
溶接部・炉体 局所的な過熱・クラック 設計温度分布との乖離

赤外線診断の実施手順

Step 1:事前準備

  • 診断対象設備のリストアップ(停止ダウンタイム記録・過去の故障履歴を参照)
  • 診断に適した負荷状態の確認(電気設備は定格負荷の70%以上で診断)
  • 放射率の設定(材質によって放射率が異なるため適切な設定が必要)
  • 測定環境の確認(直射日光・反射・風の影響を排除)

Step 2:計測・撮影

  • サーモグラフィカメラで対象設備を撮影(動画・静止画)
  • 最高温度点・温度分布・周囲温度との差分を記録
  • 可視光カメラ画像との比較で位置特定

Step 3:判定・優先度付け

温度上昇(周囲比) 判定区分 対応方針
10℃未満 正常〜経過観察 次回定期点検で確認
10〜30℃ 要注意 計画的なメンテナンス実施
30〜60℃ 異常 早期修繕(計画停止で対応)
60℃以上 緊急 即時対応(安全確認後)

Step 4:記録・トレンド管理

診断結果を設備台帳と紐づけて記録し、前回診断との温度変化トレンドを管理します。温度上昇が継続的に拡大している設備は優先的に保全計画に組み込みます。

赤外線診断の機材と費用

方法 費用感 メリット デメリット
外部業者に委託 1回10〜30万円 専門家の判定精度が高い 頻度が増えると費用が嵩む
エントリー機材(自社購入) 5〜20万円(機材) いつでも実施可能 判定スキルの習得が必要
上位機材(自社購入) 50〜200万円(機材) 高解像度・精度 初期費用が高い

中小工場の場合、年1〜2回の外部委託診断と日常の目視・振動診断を組み合わせるアプローチが費用対効果の観点で現実的です。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、保全担当者の60.3%が老朽化による保全コスト増加を実感しており、設備老朽化が進む工場ほど状態監視診断の費用対効果が高まります。

赤外線診断を保全計画に組み込む方法

赤外線診断は単発実施ではなく、保全計画に組み込むことで効果が最大化します。年次・半年次の定期診断サイクルを設定し、結果をCMMSや保全記録に蓄積することで、設備ごとの劣化トレンドを継続的に監視できます。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)によると、部長層の56.2%が予知保全を今後3年間の重点投資対象に挙げており、状態監視手法の整備が保全部門の喫緊の課題となっています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 赤外線診断は電気設備以外にも有効ですか?
有効です。機械設備の軸受・ポンプ・配管・蒸気トラップ・建屋断熱など幅広く適用できます。ただし対象設備の材質と熱特性を理解した上で診断計画を立てることが精度向上の鍵です。
Q2. 稼働中に診断できますか?停止は必要ですか?
基本的に稼働中に実施します。停止中は発熱がなく異常が検出できないケースがほとんどです。電気設備は定格負荷の70%以上での計測が推奨されます。
Q3. 赤外線診断の資格は必要ですか?
法的な必須資格はありませんが、日本サーモグラフィ協会や電気主任技術者の研修・資格が判定精度の担保に有効です。外部業者委託の場合は有資格者への依頼を推奨します。
Q4. 振動診断と赤外線診断はどう使い分けますか?
振動診断は回転機(モーター・ポンプ・ファン)の軸受・バランス異常の検出に優れます。赤外線診断は電気設備・配管・断熱材など熱異常を伴う設備全般に有効です。両方を組み合わせることで診断の死角が減ります。
Q5. 診断結果のレポートはどう活用すればよいですか?
診断結果を設備台帳に紐づけ、前回との温度変化を比較します。上昇傾向が確認された設備は計画保全の優先度を上げ、予算計画に反映させることが実務的な活用法です。

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