Topコンテンツライブラリ企業のお客様製造業の省エネ対策:設備別の電力削減・エネルギー管理・補助金活用の実務解説
製造業の省エネ対策:設備別の電力削減・エネルギー管理・補助金活用の実務解説

製造業の省エネ対策:設備別の電力削減・エネルギー管理・補助金活用の実務解説

📌 この記事では省エネの「設備別電力削減・エネルギー管理体制・補助金活用の実務」に特化して解説します。省エネ設備管理の全体像は「製造業の省エネ対策:電力・エア・蒸気の見える化と設備改善手順」をあわせてご覧ください。

製造業の省エネ対策とは、工場の設備・照明・空調・コンプレッサー・生産プロセスで消費するエネルギー(電力・ガス・熱)を削減するための計画的な取り組みで、コスト削減・CO2削減・カーボンフットプリント管理の三つの目的を同時に実現することが求められます。製造業は日本の産業部門の電力消費の大部分を占めており、電気代の高騰と脱炭素要請を背景に省エネ対策の重要性はますます高まっています。本記事では製造業の省エネ対策の優先順位・設備別削減手法・エネルギー管理体制・補助金活用の実務を解説します。

1. 製造業の主要エネルギー消費設備と削減ポイント

設備カテゴリ 消費エネルギー比率の目安 主な省エネ対策 効果の大きさ
コンプレッサー・エア系統 15〜30%(工場によっては最大) エア漏れ修理(配管・継手・バルブ)・インバーター制御導入・使用圧力の最適化・コンプレッサーの統廃合 ★★★★★
生産設備・機械 30〜50% インバーター化(モーター制御)・待機電力の削減・稼働スケジュール最適化・老朽設備の高効率機への更新 ★★★★★
照明 5〜15% LED照明への全面切り替え・人感センサー・昼光センサーの導入・不使用エリアの消灯管理 ★★★☆☆(費用対効果が高い)
空調・換気 10〜20% インバーター空調・設定温度の適正化・外皮断熱改善・熱交換換気システム導入 ★★★☆☆
ボイラー・熱源 10〜20% 廃熱回収・蒸気配管の断熱強化・燃焼効率の改善・ガスと電力のエネルギーミックス最適化 ★★★★☆
冷凍・冷却設備 5〜15% 冷却水温度の最適化・冷媒管理・ターボ冷凍機への更新・廃熱の冷却への転用 ★★★☆☆

2. 省エネ対策の推進ステップ

ステップ 内容 実施のポイント
①エネルギー消費の現状把握 設備別・工程別の電力消費量を計測・集計する。「どこで・どれだけ・いつ」使っているかを可視化する 電力計(クランプメーター)やスマートメーターを活用。まず全体の電力消費の内訳を把握することが出発点
②省エネ機会の特定と優先順位付け エネルギー消費が大きい設備・工程を特定し、削減可能量・投資額・回収期間を試算する 削減効果が大きく・コストが低い対策(エア漏れ修理・LED化)から着手する。投資が必要な対策は回収期間を計算
③省エネ計画の策定 対策の優先順位・実施スケジュール・担当者・目標削減量を文書化した省エネ計画を作成する 「省エネ法」適用事業者は省エネ計画の提出が法的義務。任意の場合でも計画書は経営層への承認取得に有効
④対策の実施と効果測定 計画に基づき省エネ対策を実施し、対策前後のエネルギー消費量を比較して効果を測定する 「対策した・しない」の条件を揃えた比較が重要。季節・生産量の変動を補正して正確な効果を算出する
⑤継続的な管理と改善 月次でエネルギー使用量をKPI管理し、目標未達の場合は追加対策を立案する 省エネは一度やって終わりでなく、継続的なモニタリングが重要。デジタルによる自動収集で管理コストを低減

3. 省エネ・脱炭素関連補助金・制度の活用

補助金・制度名 対象 補助内容の目安 活用ポイント
省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネ補助金) 省エネ効果のある設備への更新 補助率1/3〜1/2(上限あり) 高効率モーター・コンプレッサー・ボイラー等の更新に適用。毎年度公募があり採択率に注意が必要
事業再構築補助金・ものづくり補助金 製造プロセスの改善・新規設備導入 補助率1/2〜2/3(上限あり) 省エネ設備更新を事業再構築・生産性向上と組み合わせる場合に活用できる可能性がある
省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律) エネルギー使用量が多い事業者(第一種・第二種エネルギー管理指定工場) 義務(罰則あり) 年間エネルギー使用量が1,500kl以上(原油換算)の工場は省エネ法の指定工場として申告・計画提出が義務
カーボンニュートラル支援ツール・グリーンイノベーション基金 脱炭素・CO2削減に取り組む企業 各事業による 省エネとCO2削減を一体的に進める場合、複数の補助制度を組み合わせて活用できる場合がある

4. 現場実態:製造業の省エネ・GX推進の実情

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、10人未満の小規模工場でGXが「計画も検討もしていない」割合は50.6%に達します(他規模25.3%)。中小製造業では省エネ・脱炭素への取り組みが後回しになりやすく、担当者不在・情報不達が主な障壁となっています。設備保全の観点からエネルギー管理に着手することが現実的なアプローチです。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、保全担当者で「省エネ・CO2削減」を設備更新の理由に挙げる割合は42.5%に達します(非担当24.4%)。設備保全を担当している技術者ほど省エネを設備更新の判断基準に取り込んでいる実態があり、保全KPIとエネルギー管理の統合が省エネ推進の効果的な手段となっています。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、10人未満の小規模工場でCO2排出量を「ほとんど把握していない」割合は74.1%に達します(他規模42.4%)。計測器の不足・デジタル管理の未整備が原因で、設備別のエネルギー消費と排出量の把握ができない状況が多くの中小工場で見られます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 製造業の省エネ対策で最も費用対効果が高いものは何ですか?

製造業で費用対効果が高い省エネ対策のトップ3は①エア漏れ修理:工場のエアコンプレッサーの消費電力の20〜30%がエア漏れによる無駄なエネルギーと言われています。配管・継手・バルブのエア漏れを修理するだけで大幅な削減が可能で、費用も低い②LED照明への切り替え:蛍光灯・水銀灯からLEDへの切り替えで消費電力を50〜70%削減できます。初期投資の回収期間が3〜5年程度で、即効性のある対策③設備の待機電力削減:生産停止中・昼休み・夜間に設備の電源を落とす仕組みを作る。インターロック・自動電源遮断の仕組みを設備ごとに設計することで「つけっぱなし」の損失を削減できます。これらは大きな投資なしに実施できる「まずやるべき省エネ対策」です。

Q2. 省エネ対策の効果をどのように測定・管理すればよいですか?

省エネ効果の測定・管理の基本は①エネルギー原単位の設定:「生産量1単位あたりの電力消費量(kWh/個、kWh/ton等)」を省エネKPIとして設定する。生産量が変動しても比較できる形にする②月次モニタリング:設備別・工程別の電力消費量を月次で集計し、前月・前年同月・目標値と比較③ベースライン設定:省エネ対策前の基準期間(6〜12ヶ月)の消費量をベースラインとして設定し、対策後と比較して削減量を算出④デジタル計測の活用:電力計のデータをクラウドで自動収集すると、手集計の工数が大幅に削減できる。IoTセンサーと連携した設備別電力管理が理想です。効果測定を定期的に行い、経営層に「省エネ投資のリターン」を報告する仕組みを作ることが省エネ活動の継続につながります。

Q3. 省エネ法の指定工場になった場合、何をしなければなりませんか?

省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)では、年間エネルギー使用量が一定以上の工場は「特定事業者」として指定され、①エネルギー管理士の選任(または管理員の選任)②中長期計画の作成・提出(毎年)③定期報告書の提出(毎年)④エネルギー使用合理化の取り組み実施が義務付けられています。第一種エネルギー管理指定工場(原油換算3,000kl/年以上)と第二種(1,500kl以上)で義務内容が異なります。違反した場合は罰則(指導・報告命令・立入検査・罰金)があります。省エネ法の適用対象かどうかは経済産業省のガイドラインまたは地方経済産業局に確認することをお勧めします。

Q4. 設備保全と省エネ管理をどう連携させればよいですか?

設備保全と省エネ管理の連携は「設備の健全性とエネルギー効率は直結している」という理解から始まります。具体的な連携方法は①設備の電力消費量を保全KPIに組み込む(電力消費が増加傾向にある設備は劣化・故障の兆候)②コンプレッサーのエア漏れ修理を保全業務として計画する(エア漏れは設備劣化・配管劣化の指標)③モーターの電流値をIoTセンサーで監視する(電流異常は故障予兆+エネルギー異常の両方を検知)④設備更新計画に省エネ効果を組み込む(老朽設備の更新を「保全コスト削減+省エネ効果」で経営に説明する)⑤設備別の電力消費データをCMMSで保全記録と一元管理する(「いつ・どの設備で・どれだけのエネルギーを使ったか」を一つの画面で管理)、の5点が有効です。

Q5. 中小製造業が省エネを進めるための現実的なアプローチは何ですか?

中小製造業が省エネを進めるための現実的なアプローチは①「省エネ診断」を受ける:中小企業向けに無料・低コストの省エネ診断サービスが国・都道府県・業界団体から提供されている。専門家に現状を診断してもらうことで優先順位が明確になる②小さな対策から始める:エア漏れ修理・LED化・待機電力削減は費用が低く・すぐに始められる。「まずこの3つを実施して削減効果を確認する」という進め方が現実的③補助金を活用して設備更新する:省エネ補助金・ものづくり補助金を活用することで、初期費用の自己負担を抑えた設備更新が可能④電力会社・機器メーカーのサポートを活用する:電力会社や設備メーカーが省エネ診断・提案サービスを提供しているケースがある。無料サービスを積極的に活用する⑤省エネ目標を経営目標に組み込む:電気代削減額・CO2削減量を経営計画に盛り込み、定期的にレビューする体制を作る、の5点です。

製造業の省エネ・GX推進の実態を調査レポートで確認

省エネ対策・カーボンニュートラルへの取り組み実態を500社調査でまとめました。無料でダウンロードできます。

調査レポートを無料ダウンロード

MENTENA:設備保全とエネルギー管理を連携させるクラウドCMMS

設備別の電力消費・保全記録・稼働状況をMENTENAで一元管理し、省エネと保全の両立を実現します。

MENTENAを問い合わせる

この記事をシェアする