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リスクアセスメントとは(製造業)?手順・手法・FMEA活用を解説

リスクアセスメントとは(製造業)?手順・手法・FMEA活用を解説

リスクアセスメントとは、製造工程・製品・作業環境に潜在するリスクを特定・分析・評価し、リスクの大きさに応じた対策を講じるプロセスです。品質マネジメント(ISO 9001)・安全管理(ISO 45001)・製品安全(機械指令・CE認証)など多くの規格でリスクアセスメントの実施が求められており、製造業では品質トラブル・労働災害・リコールの未然防止を目的として取り組む現場が増えています。

リスクアセスメントとは何か

リスクアセスメントとは、「リスクの特定(危害・不具合が起こり得る箇所の洗い出し)」「リスク分析(発生確率・影響度の評価)」「リスク評価(許容可否の判断)」の3段階で構成されるリスク管理プロセスです。ISO 31000(リスクマネジメント)やISO 9001(品質マネジメント)において、リスクアセスメントは組織が先取り型の管理を実現するための基盤として位置づけられています。

製造業におけるリスクアセスメントの対象は、①品質リスク(不良品の発生・流出)、②安全リスク(労働災害・機械危険源)、③製品安全リスク(エンドユーザーへの危害)、④供給チェーンリスク(材料調達の不安定化)など多岐にわたります。リスクの種類に応じて適切な手法と対策を選択することが重要です。

品質リスクアセスメントの主な手法

手法 正式名称 特徴 主な適用場面
FMEA 故障モード影響解析 工程・設計の潜在的故障モードを洗い出し、RPN(発生度×検出度×影響度)で優先順位付け 設計品質・工程品質の改善(自動車:AIAG-VDA FMEA)
FTA 故障の木解析 トップ事象(重大不具合)から原因を木構造で掘り下げる演繹的手法 安全設計・重大クレームの根本原因分析
HACCP 危害分析重要管理点 食品安全における危害要因を工程ごとに分析・管理点を設定 食品・飲料・医薬品製造
ハザード分析 (ISO 12100等) 機械・設備の危険源を系統的に特定し、残留リスクを評価する 機械設計・CE認証・機械設置
HAZOP 危険・運転可能性検討 プロセス変量(温度・圧力・流量)の逸脱から危険を系統的に抽出 化学・石油・プロセス産業

製造業でのリスクアセスメント実施手順

ステップ 内容 実施のポイント
①リスクの特定 工程・製品・作業に潜在するリスク源を網羅的に洗い出す 過去のクレーム・不良実績・ヒヤリハット記録を起点にすること
②リスク分析 各リスクの発生確率・影響度・検出可能性を定量・定性的に評価 FMEAのRPN(リスク優先度数)など評価基準を事前に組織で統一する
③リスク評価 許容可能なリスクか否かを判断し、対策が必要なリスクを優先順位付け リスクマトリクス(発生確率×影響度)でリスクレベルを視覚化する
④リスク対応 リスク低減策(工程変更・ポカヨケ・検査追加等)を決定・実施 「回避→低減→移転→保有」の優先順で対策を検討する
⑤効果確認・見直し 対策後のリスク水準を再評価し、残留リスクが許容範囲内か確認 定期的なリスクアセスメントの見直しと記録の維持が必要

ISO 9001・IATF 16949でのリスクアセスメント要求事項

ISO 9001:2015では、第6条「計画」において「リスク及び機会」の決定が明示的に要求されています。組織は品質マネジメントシステムの計画段階でリスク(悪影響を及ぼす要因)と機会(好影響をもたらす要因)の両方を特定し、それらへの対応策を計画・実施・評価しなければなりません。

自動車業界のサプライヤーに適用されるIATF 16949では、さらに厳格なリスクアセスメントが求められます。DFMEAとPFMEAの実施が要求され、コントロールプランとの連携・内部監査・マネジメントレビューでの活用も規定されています。近年はAIAG-VDA FMEAハンドブックによる新FMEA手法への移行が進んでいます。

製造業の品質管理における意思決定層の関与と品質リスク

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、品質管理の意思決定に経営層・管理職が関与している工場では「対策している」が97.5%だったのに対し、意思決定層が関与していない工場では64.1%でした。リスクアセスメントが形式的な文書作成にとどまらず、実際のリスク低減活動につながるためには、経営層によるリスク優先度の判断と資源配分の意思決定が不可欠です。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、社長層(経営トップ)が品質不良損失を「50万円未満」と回答した割合が60.9%だったのに対し、他の役職では7.1%でした。品質リスクが金額として可視化されていない工場では、リスクの深刻度を経営判断に活かすことができず、リスクアセスメントの取り組みが後手になりがちです。リスクを定量化することが、経営層の関与を促す鍵となります。

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品質リスクアセスメントのデジタル化

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、保全業務の非担当者では品質不良率のKPIが「わからない」と回答した割合が32.3%でした(保全担当者では12.3%)。品質リスクアセスメントを実効的に機能させるためには、リスクの根拠となるデータ(不良率・クレーム件数・ヒヤリハット件数等)が組織内で共有されていることが前提です。

紙やExcelでのリスクアセスメント管理では、リスク台帳の更新漏れ・対策状況の追跡困難・部門間での情報共有の手間が課題になります。品質管理システムやFMEAソフトウェアを活用することで、リスク台帳の集中管理・是正処置との紐づけ・リスク再評価の定期アラートが可能になります。

よくある質問

Q. リスクアセスメントとリスクマネジメントの違いは何ですか?
リスクアセスメントはリスクを「特定・分析・評価」するプロセスであり、リスクマネジメントの一部です。リスクマネジメントは、リスクアセスメントの結果を受けて「リスクへの対応策の実施・モニタリング・コミュニケーション」まで含む包括的な管理活動全体を指します。
Q. FMEAとリスクアセスメントは同じですか?
FMEAはリスクアセスメントの手法の一つです。製品設計や製造工程の潜在的故障モードを系統的に分析するための特定の手法であり、リスクアセスメントという大きな枠組みの中でFMEAを活用します。製造業では設計段階にDFMEA(Design FMEA)、工程設計段階にPFMEA(Process FMEA)を適用することが多いです。
Q. 中小製造業でもリスクアセスメントは必要ですか?
規模に関係なく、品質トラブル・労働災害の未然防止という観点からリスクアセスメントは有効です。ISO 9001認証を取得している企業はリスクアセスメントの実施が求められます。中小企業では全工程への一斉適用は現実的でないため、重大クレームが発生した工程・新規工程・変更点から優先的に着手することが現実的です。
Q. リスクマトリクスの作り方を教えてください。
リスクマトリクスは縦軸に「影響度(重大性)」、横軸に「発生確率」を配置した2軸のマトリクスです。影響度と発生確率をそれぞれ3段階(低・中・高)または5段階で評価し、組み合わせによってリスクレベル(高・中・低)を判定します。組織で評価基準を統一し、メンバー間で評価に一貫性が持てるよう、具体的な評価指標(例:影響度「高」=製品回収レベル、「中」=顧客苦情レベル)を定義することが重要です。
Q. リスクアセスメントの記録はどのように保管すればよいですか?
ISO 9001では「文書化した情報」としてリスクアセスメントの結果と取り組みの記録保持が求められます。最低限、①特定したリスクのリスト、②リスクの評価結果(リスクレベル)、③リスク対応策の内容と実施状況、④残留リスクの再評価結果を記録・保管します。ISOの外部審査で提示できる状態に整備しておくことが重要です。

まとめ

リスクアセスメントは、品質トラブル・製品事故・労働災害を未然に防ぐために製造業で不可欠なプロセスです。FMEA・FTA・ハザード分析など手法を業種・目的に応じて選択し、リスクの特定→分析→評価→対応→見直しのサイクルを継続的に回すことが重要です。

ISO 9001やIATF 16949対応でリスクアセスメントが義務化されている企業では、形式的な文書整備にとどまらず、リスクデータを実際の品質改善活動に活用する体制が求められます。品質リスクの定量化と経営層への可視化が、リスクアセスメントを実効的な改善活動に結びつける鍵となります。

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