OEEとは、Overall Equipment Effectiveness(設備総合効率)の略称で、設備が理論上の最大能力に対してどれだけ有効に稼働しているかを示す総合指標です。可用率・性能効率・品質率の3要素を掛け合わせて算出し、製造現場のロスを可視化・改善するためのKPIとして国際的に広く用いられています。World Class水準はOEE 85%以上とされています。
1. OEEの計算式と3要素
OEEは次の3指標の積で計算されます。
| 要素 | 正式名称 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 可用率(A) | Availability | (計画稼働時間 − 停止時間)÷ 計画稼働時間 × 100 | 計画停止を除いた時間のうち、実際に設備が稼働できた割合 |
| 性能効率(P) | Performance Efficiency | (実際の生産量 × 基準サイクルタイム)÷ 実際稼働時間 × 100 | 実際の生産スピードが理論速度に対してどれだけ達成できたか |
| 品質率(Q) | Quality Rate | (良品数 ÷ 総生産数)× 100 | 生産した製品のうち良品として出荷できた割合 |
OEE = 可用率(A)× 性能効率(P)× 品質率(Q)
計算例:可用率90%・性能効率92%・品質率97%の場合
OEE = 0.90 × 0.92 × 0.97 = 80.3%
| OEEレベル | 評価 | 代表的な状況 |
|---|---|---|
| 85%以上 | World Class(優良) | 計画的保全が徹底され、停止・品質ロスが最小化されている |
| 70〜85% | 良好(改善余地あり) | 部分的な停止・速度ロスが発生しているが、全体的に管理されている |
| 60〜70% | 平均的 | 特定の設備・工程に繰り返し発生するロスがある |
| 60%未満 | 要改善 | 突発停止・品質不良が多く、ロスの原因分析と根本対策が急務 |
2. OEEと7大ロスの対応
TPMで定義される設備の7大ロスは、OEEの3要素に対応する形で整理できます。
| OEE要素 | 7大ロスの種類 | 具体例 |
|---|---|---|
| 可用率(A)の損失 | ①故障ロス | 突発故障による計画外停止 |
| ②段取り・調整ロス | 品種切替・金型交換・調整に要する時間 | |
| 性能効率(P)の損失 | ③空転・チョコ停ロス | 詰まり・センサー誤作動による短時間停止 |
| ④速度低下ロス | 設備能力の発揮不足・意図的な低速運転 | |
| ⑤立ち上がりロス | 始業・昼休憩後の条件安定までの損失 | |
| 品質率(Q)の損失 | ⑥工程不良ロス | 製造中に発生する不良・手直し品 |
| ⑦初期流動ロス | 立ち上げ・段取り後の初期不良 |
3. 現場実態:調査データが示すOEE低下の原因
八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用の保全管理システムを利用している工場でも「定期点検の未実施」が設備停止原因の37.3%を占めていました。OEEの可用率を押し下げる主因の一つが、点検計画は立案されているにもかかわらず実施状況の管理ができていない状況です。
同調査では、管理設備が11〜100台の工場で「点検コストの最適化に役立つ」と回答した割合が73.6%に達し、管理対象のない工場(25.0%)の3倍以上でした。管理台数が増えるほど、OEE改善の費用対効果が高まることを示しています。
また、八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)によると、部長層の56.2%がOEEに直結する予防保全・予知保全をTop3の設備投資優先項目に挙げました。停止ロスを日常的に把握している中間管理職ほど、OEE向上の重要性を強く認識しています。
製造設備の突発停止、その損失を把握していますか?
八千代ソリューションズの調査レポート「製造設備の突発停止」(n=500)では、OEEを押し下げる定期点検未実施の実態と対策を詳報。無料でダウンロードできます。
4. OEE改善の進め方
OEEが低い場合、3要素のどれが主因かを特定してから施策を実行します。
| 改善対象 | 主な施策 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 可用率(A)改善 | 予防保全(TBM)の徹底、MTTR短縮(修理手順書整備・予備品確保) | 突発停止の削減、復旧時間の短縮 |
| 性能効率(P)改善 | チョコ停原因の特定と排除、速度低下の原因分析(摩耗・調整不良) | 理論サイクルタイムへの到達 |
| 品質率(Q)改善 | 不良発生工程の特定(SPC・工程管理図)、変化点管理の強化 | 不良率・手直し率の削減 |
| 全体(段取り短縮) | SMED(シングル段取り)の適用、段取り手順の標準化 | 段取り時間の50%削減 |
5. OEEの計測を始める手順
OEEを継続的に改善するには、まずデータ収集の仕組みを整える必要があります。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| Step 1 | 計測対象設備の選定 | ボトルネック工程・停止頻度の高い設備を優先する |
| Step 2 | 各要素の定義と記録ルール統一 | 「計画稼働時間」「停止」の定義をチームで合意する |
| Step 3 | 日次でデータを収集・集計 | 手書き記録でも可。最初は週1回集計でOEEを算出する |
| Step 4 | 低下要因のロス分類 | 停止・速度低下・不良をどのロス区分で記録するかを統一する |
| Step 5 | 改善施策を実行しOEEで効果を確認 | 施策前後のOEEを比較して改善効果を定量評価する |
設備保全の体系と保全方式の全体像については設備保全とは?種類・目的・進め方を解説も合わせてご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. OEEのWorld Class(85%)は本当に達成できますか?
製造業種・設備の種類によって難易度は大きく異なります。多品種少量生産で頻繁に段取りが発生する工場は70〜75%が現実的な目標になる場合もあります。重要なのは絶対値より「継続的な改善トレンド」であり、前期比2〜5%の向上を目指して施策を繰り返すことが実務上有効です。
Q2. OEEが低い場合、どこから手をつければ良いですか?
まず3要素(可用率・性能効率・品質率)の数値を算出し、最も低い要素を特定します。多くの工場では可用率(突発停止)が最大のロス源となるため、予防保全の強化と修理時間(MTTR)の短縮から着手することが効果的です。
Q3. OEEはどの頻度で計測すれば良いですか?
日次での記録、週次・月次での集計・分析が基本です。改善施策の効果検証には最低1か月以上のデータが必要です。初期段階では週次で集計し傾向を掴んでから、日次のリアルタイム計測に移行するのが現実的です。
Q4. チョコ停(短時間停止)はどうカウントすれば良いですか?
一般的に「5分未満の停止」をチョコ停として性能効率のロスに分類し、「5分以上」の停止を可用率のロスとする定義が多くあります。自社で閾値を決め、全工程で統一することが重要です。チョコ停は1回ずつ短いため見落とされやすいですが、月次合計では大きなロスになることが多くあります。
Q5. OEEを手計算で管理することはできますか?
可能です。紙の記録票に停止時間・生産数・不良数を記入し、Excelで計算する方法から始めても実態把握は十分にできます。ただし、設備数が増える・日次でリアルタイムに確認したい、といったニーズが出てきたら保全管理システムやMES(製造実行システム)の自動収集機能を検討する段階です。
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