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計画保全とは?TPMの7ステップ・突発停止ゼロへの進め方を解説

計画保全とは?TPMの7ステップ・突発停止ゼロへの進め方を解説

計画保全とは、設備の突発的な故障をなくし、すべての保全活動を計画的・体系的に行う状態を目指す保全体制のことです。TPM(Total Productive Maintenance:全員参加の生産保全)では「計画保全」を8本の柱の一つと位置づけ、生産部門が担う「自主保全」と対をなす、保全専門部門が中心となる活動として定義しています。本記事では計画保全の定義・TPMにおける7ステップ・中小製造業での実践方法を解説します。

1. 計画保全の目的と「突発停止ゼロ」の考え方

計画保全の目指す状態は、設備の故障を「起きてから対応する」から「起きる前に防ぐ」に転換することです。具体的には以下の3つの目標を掲げます。

目標 内容 主な指標
突発停止ゼロ 計画外の設備停止をなくし、生産の予測精度を高める 突発停止件数・時間、MTBF
保全コストの最適化 過剰保全(TBMの余寿命廃棄)と過少保全(突発大修繕)の両方を排除する 保全費率(保全費÷売上高)、計画保全比率
保全活動のPDCA化 計画→実施→記録→分析→改善のサイクルを確立し、継続的に保全水準を高める 計画保全実施率、再発故障率

2. TPMにおける計画保全の7ステップ

TPMが提唱する計画保全は7つのステップで段階的に進めます。

ステップ 活動内容 達成の目安
Step 1:設備評価と現状把握 設備の重要度評価(A/B/C分類)・故障履歴・保全コストの現状を把握する 設備台帳の整備、MTBF・保全費の集計開始
Step 2:劣化の復元と弱点改善 現在の劣化・摩耗を修復し、設備を基本条件(適正な清掃・給油・増締め)に戻す 突発故障が削減され始める
Step 3:情報管理体制の構築 故障記録・保全記録・部品在庫管理のシステムを整備する MTBF・MTTRが継続的に計測できる
Step 4:定期保全体制の構築 TBMの点検周期・作業内容・担当者を設定し、計画保全を実行する 計画保全実施率95%以上
Step 5:予知保全体制の構築 重要設備にCBM・センサー計測を導入し、状態に基づく保全を実施する 重要設備の突発停止ゼロを実現
Step 6:計画保全の評価と改善 MTBF・保全コスト・計画保全実施率のデータを分析し、保全計画を最適化する 保全費の継続的な削減と稼働率改善
Step 7:自主保全との統合 オペレーターによる日常点検(自主保全)と計画保全を連携させ、保全体制を完成させる 全設備に体系的な保全が適用された状態

3. 現場実態:計画保全が機能していない実態

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用の保全管理システムを利用している工場でも「定期点検の未実施」が設備停止原因の37.3%を占めていました。計画は立案されているが実施管理が徹底されていないことが、計画保全の最大の障壁となっています。

同調査では、工数管理が不明確な工場において突発停止への対策が「なし」と回答した割合が26.1%に上り、工数を80%以上把握している工場(4.2%)の6倍以上でした。保全担当者が明確でない組織では、計画保全の責任者が不在となり、実施が形骸化するリスクが高くなります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)によると、保全担当者が10人未満の工場では紙での保全管理が81.4%に上り、大企業(33.3%)と大きな差があります。計画保全の実施状況を紙で管理すると、実施漏れの把握や傾向分析が困難になり、PDCAが回りにくくなります。

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八千代ソリューションズの調査レポート「製造設備の突発停止」(n=500)では、計画保全が機能していない工場の実態と改善策を詳報。無料でダウンロードできます。

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4. 計画保全の構成要素:4つの保全活動

計画保全は以下の4つの保全活動を、設備の重要度・故障モードに応じて組み合わせて実施します。

保全活動 内容 適用場面
定期保全(TBM) 一定の時間・使用量間隔で点検・部品交換・オーバーホールを実施する 劣化パターンが明確で周期設定できる設備
状態基準保全(CBM) センサー・点検計測で設備状態を監視し、劣化兆候を検知したら保全を実施する 重要設備・センサー計測が可能な設備
改良保全(CM) 繰り返す同一故障の根本原因を改善(設計変更・材質変更)する 再発故障・慢性故障が発生している設備
保全予防(MP) 設備の設計・調達段階から保全しやすさ・故障しにくさを組み込む 設備更新・新設時

5. 中小製造業が計画保全を始める4ステップ

ステップ 取り組み内容 ポイント
Step 1 設備台帳と故障記録の整備 主要生産設備20〜30台から対象を絞り、故障履歴・MTBF・保全コストを集計する
Step 2 設備クラス分類と保全方式の決定 A(重要設備)→TBM+CBM、B→TBM、C→事後保全容認 の3段階で割り当てる
Step 3 年間保全計画の策定と実施管理 月ごとの点検・整備スケジュールを立案し、実施率95%以上を目標にPDCAを回す
Step 4 実績データに基づく計画の見直し MTBF・突発停止件数・保全コストを四半期ごとに集計し、計画の有効性を評価・改善する

計画保全の基盤となる予防保全(TBM)の詳細については予防保全とは?TBM・CBMの種類・メリット・導入ステップを解説、設備保全全体の体系については設備保全とは?種類・目的・進め方を解説もあわせてご参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 計画保全と予防保全は同じですか?

異なります。予防保全はTBMやCBMなど「故障を未然に防ぐ保全方式」を指す言葉です。計画保全は、予防保全・改良保全・保全予防・CBMなど複数の保全活動を体系的に組み合わせた「保全体制の状態」を指します。計画保全は予防保全を内包するより広い概念です。

Q2. 計画保全比率とはどう計算しますか?

計画保全比率 =(計画保全工数 ÷ 総保全工数)× 100 で計算します。突発対応工数が多いほど比率が低くなります。世界クラスの製造工場では計画保全比率80%以上が目標水準とされています。自社の比率を把握することで、突発対応にどれだけの工数が取られているかを可視化できます。

Q3. 計画保全の実施率が上がらない場合、何が原因ですか?

主な原因は①計画が現場の実態に合わない(点検項目が多すぎ・時間が足りない)②突発対応に追われて計画保全の時間が取れない③実施した記録の管理が煩雑(紙での記録漏れ)の3つです。まず②を解消するために、重要設備の計画保全を優先して突発停止を減らすことが根本的な改善策となります。

Q4. 計画保全に必要な人員体制はどれくらいですか?

設備規模・重要度・保全内容によって大きく異なります。TPMでは「保全専任者の配置」と「オペレーターによる自主保全(日常点検)の組み合わせ」を推奨しています。小規模工場では保全専任者ゼロでも、兼務担当者+保全管理システムで計画保全を実施できます。外注保全会社の活用も有効です。

Q5. 計画保全の成果をどのように経営に報告すれば良いですか?

①突発停止件数・時間の前年比削減 ②MTBFの改善 ③保全費率(保全費÷売上高)の推移 ④計画保全実施率 の4指標を月次でグラフ化して報告します。金額換算では「突発停止1件あたりの損失額 × 削減件数」で経済効果を示すと経営への訴求力が高まります。

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