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稼働率の上げ方:製造業での原因分析・改善手順・KPI設定を解説

稼働率の上げ方:製造業での原因分析・改善手順・KPI設定を解説

設備稼働率を上げるとは、設備が計画稼働時間の中でどれだけ実際に生産に使われているかの比率を高める活動です。稼働率が低い原因は「突発故障・段取り時間・調整時間・チョコ停・材料待ち・指示待ち」の6つに分類されます。「稼働率を上げる」というと設備の高速化・増設を想定しがちですが、実際には「止まらない設備にする」「止まる時間を短くする」アプローチが最も効果的です。本記事では稼働率低下の原因分析・改善手順・KPI設定を解説します。

1. 稼働率低下の主要原因と対策

停止の種類 典型的な発生原因 主な改善対策
突発故障(計画外停止) 部品の摩耗・劣化・点検不足・日常点検の形骸化 予防保全の計画化・日常点検の実施管理・MTBF延長
段取り・品種切替 手順が標準化されていない・治具の準備が段取り中・初品確認に時間がかかる SMED(段取り改善)・外段取り化・治具の定位置管理
条件調整・試加工 品種切替後の条件が記録されていない・標準条件表がない・ベテラン依存 加工条件の記録・標準化・条件呼び出し機能の活用
チョコ停(短時間停止) ワーク詰まり・センサー誤作動・供給不良・切粉噛み 停止記録の収集・原因の傾向分析・設備改善
材料・部品待ち 調達リードタイムの誤算・在庫切れ・前工程の遅延 在庫管理改善・前工程の生産安定化・調達計画の精度向上
情報・指示待ち 製造指示の遅延・設計変更対応・承認待ち 製造指示のデジタル化・意思決定フローの短縮

2. 稼働率改善の4ステップ

Step1:停止時間を計測・記録する

稼働率を上げる前提として、「いつ・どの設備が・何の理由で・どのくらい止まったか」を記録します。停止記録がなければ改善の優先順位が付けられません。最初は日報・点検記録に「停止理由コード(故障・段取り・材料待ち等)と停止時間」を追記するところから始めます。センサーやCMMSで自動収集できれば精度が向上します。

Step2:パレート分析で主要停止要因を特定する

1ヶ月分の停止記録を集計し、停止要因別の停止時間(または停止回数)をパレート図で整理します。上位20%の停止要因が全体の停止時間の80%を占めることが多く、その要因に集中して対策を講じます。「故障が停止時間全体の60%を占める」なら保全改善が最優先、「段取りが40%を占める」なら段取り改善が最優先です。

Step3:根本原因を分析し対策を実施する

主要停止要因に対して「なぜなぜ分析」で根本原因を特定します。故障の場合は「部品の摩耗→定期交換のサイクルが設定されていなかった→MTBF分析に基づく予防保全計画を策定する」という流れで根本対策を設計します。応急処置(とりあえず再起動)ではなく、「再発しない仕組み」を作ることが改善の本質です。

Step4:KPIで効果を確認し継続する

対策実施前後の稼働率(または停止時間)を比較し、改善効果を定量確認します。月次の稼働率レポートを工場長に報告し、目標値との差異を管理します。効果が確認できた対策は同種設備・他工程へ展開します。

3. 予防保全による突発停止削減

稼働率低下の最大要因が突発故障である場合、予防保全の計画化が最も効果的な対策です。

保全方式 内容 稼働率への効果
TBM(時間基準保全) 設備の使用時間・カレンダー期間に基づいて定期的に部品交換・点検を実施 突発故障を削減。ただし過剰保全(まだ使える部品の早期交換)になる場合あり
CBM(状態基準保全) 振動・温度・電流等のセンサーで設備状態を監視し、劣化兆候が出たタイミングで保全 突発故障を大幅削減。保全タイミングを最適化してコストも抑制
日常点検(自主保全) オペレーターが設備の清掃・給油・増し締め・異常発見を日常的に実施 小さな異常の早期発見・予防保全の効果を高める基盤

4. 現場実態:稼働率管理の課題

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、紙・未導入工場で突発停止への「対策なし」と回答した割合は47.7%に達しており、専用システム導入工場(6.7%)との差が40ポイントを超えています。停止記録が紙管理の工場では、停止時間の集計・傾向分析が困難で、対策を打つための情報基盤がありません。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、保全業務の80%以上をデジタル管理している工場(保全80%層)で「修理に時間がかかる」と回答した割合は64.8%に達し、停止時間(MTTR)の短縮には図面管理・部品在庫管理・作業手順書の整備が別途必要であることが示されています。稼働率の向上には「停止を減らす(MTBF延長)」と「停止時間を短くする(MTTR短縮)」の両面対策が必要です。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年5月実施、n=500)によると、役員・マネジメント層で予知保全をTop3投資優先項目に挙げた割合は56.2%であるのに対し、社長層では22.9%にとどまっており、停止ロスを直接見る立場にある中間管理職が予防・予知保全の必要性を最も強く感じていることが示されています。

5. 稼働率のKPI設定

KPI 定義 目標値の目安
時間稼働率 (負荷時間 – 停止時間)÷ 負荷時間 × 100% 90%以上(現状から月次3〜5%改善を目標に設定)
計画停止率 全停止時間に占める計画保全・段取りの割合 高いほど良い(突発停止>計画停止の状態からの脱却が目標)
MTBF(平均故障間隔) 故障と故障の間隔の平均値。稼働時間÷故障件数 月次でトレンドを把握し、前月比・前年同月比で改善傾向を確認
MTTR(平均修理時間) 故障発生から復旧までの平均時間 小さいほど良い。現状から30%削減を6ヶ月目標に設定
突発停止件数 計画外の突発停止発生件数 月次でカウントし、件数の減少トレンドを確認

よくある質問(FAQ)

Q1. 稼働率と可動率の違いは何ですか?

稼働率(OEEの稼働率)は「計画稼働時間に対して実際に稼働した時間の割合」です。可動率(かどうりつ)は「設備を動かしたいと思ったときに動く確率」を指し、設備の信頼性・保全の観点から使われます。可動率=1-(故障による停止時間÷負荷時間)に近い概念です。実務では両者を明確に使い分けず「稼働率」でまとめて扱うことが多いです。

Q2. 設備を増設すれば稼働率問題は解決しますか?

設備増設は「生産能力不足」の解決策であり、「稼働率が低い設備を増やす」だけでは問題は解決しません。稼働率60%の設備を増設しても、停止原因が残ったままでは2台とも60%稼働になります。まず既存設備の稼働率改善で生産能力を最大化し、それでも不足する場合に増設を検討する順序が投資効率の観点から重要です。

Q3. チョコ停が多い設備はどう対応すればよいですか?

チョコ停は1件あたりの停止時間が短いため見過ごされがちですが、高頻度で発生すると累積停止時間が大きくなります。対応手順は①停止のたびに理由(詰まり・センサー誤作動等)と時刻を記録→②1ヶ月集計し頻度の高い要因を特定→③設備改良(センサー位置の調整・供給部の清掃・治具の形状変更)→④改善後の頻度を確認、です。原因の記録なしには対策が打てません。

Q4. 稼働率向上と保全コストの関係は?

予防保全への投資により突発停止が減ることで、緊急修理コスト(割増の外注費・特急部品調達費)が削減されます。一般的に、事後保全(壊れてから直す)のコストは予防保全の3〜5倍とされます。稼働率向上による生産量増加の収益効果と保全コスト削減を合わせると、予防保全への投資ROIは比較的高くなります。

Q5. 稼働率のデータはどうやって自動収集できますか?

PLCから稼働/停止信号を取り出してゲートウェイ経由でクラウドに送る方法が最も精度が高いです。PLCへのアクセスが難しい設備では、電流センサー(設備が動いているときの電流変化を検知)や光センサー(動作の検知)を後付けする方法があります。CMMSやIoTプラットフォームと連携することで、稼働率の自動集計・アラート発報・トレンド分析が可能になります。

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