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事後保全とは?BDMとBMの違い・適用基準・コスト計算方法を解説

事後保全とは?BDMとBMの違い・適用基準・コスト計算方法を解説

事後保全とは、設備が故障してから修理・交換を行う保全方式の総称です。英語ではBreakdown Maintenance(BDM)またはCorrective Maintenance(CM)と呼ばれます。「故障してから対応する」という印象からデメリットばかりが強調されますが、設備の重要度・故障影響・コストによっては、事後保全が最も合理的な選択となるケースもあります。本記事では事後保全の定義・種類・適用基準・コスト管理の方法を解説します。

1. 事後保全の2種類:計画BMと非計画BM

事後保全は「故障を想定しているか否か」で2種類に分類されます。

種類 別名 特徴 主な適用場面
計画的事後保全 Run-to-Failure(RTF) 故障することを想定・許容し、修理部品・人員・手順を事前に準備しておく 故障しても生産への影響が軽微、かつ修理コストが低い設備
非計画的事後保全 Breakdown Maintenance(突発対応) 故障を想定しておらず、発生後に緊急対応する。修理に長時間・高コストがかかりやすい 保全戦略が未設計の状態で発生する多くの突発故障

「事後保全は悪い」というのは誤解です。問題は「計画的に選択された事後保全」ではなく「保全戦略がなく結果として事後対応になる非計画的事後保全」です。

2. 事後保全・予防保全・予知保全の比較

方式 実施タイミング 直接コスト 間接コスト(停止損失) 適切な設備クラス
事後保全(計画BM) 故障発生後(修理体制は事前準備) 低(影響軽微設備) C(一般設備)
事後保全(非計画BM) 故障発生後(緊急対応) 高(緊急割増) 高(生産停止) -(意図しない状態)
予防保全(TBM) 定期的 B(中重要設備)
CBM・予知保全 劣化検知・予測時 中〜高(初期) 最低 A(重要設備)

3. 事後保全を採用すべき設備の選定基準

RCM(信頼性中心保全)のフレームワークでは、以下の条件をすべて満たす設備は事後保全(計画BM)が合理的とされています。

基準 判断の目安
安全・環境への影響が軽微 故障しても人身事故・環境汚染が発生しない
生産への影響が軽微 代替設備がある、または停止しても生産ラインが継続できる
予防保全のコスト対効果が低い 定期点検・部品交換コストが、故障時の修理コストを上回る
故障が突発的で予測困難 劣化のトレンドが読めず、TBMもCBMも効果が薄い故障モード

4. 現場実態:事後保全のコスト把握ができていない実態

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、工数管理が不明確な工場では「損失を把握できていない」割合が93.6%に達し、工数を80%以上把握している工場(18.3%)と比較して圧倒的な差がありました。事後保全で発生するコスト(修繕費・緊急外注費・残業代・生産ロス)が見えていなければ、予防保全への投資判断の根拠が作れません。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、社長層では設備停止時間を「1時間未満」と回答した割合が84.4%に上りましたが、全体平均では58.7%にとどまりました。経営層が停止時間を過小評価している環境では、事後保全の間接コストが過小評価され、予防保全への投資が進みにくい構造が生まれます。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、紙管理・未導入工場では「復旧コストの詳細を把握できていない」割合が68.4%に達し、専用システム利用工場(10.7%)の6倍以上でした。事後保全の実態コストを可視化するためにも、デジタルでの保全記録が不可欠です。

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5. 事後保全のコストを正しく把握する方法

事後保全の「見えないコスト」を把握しなければ、保全戦略の最適化はできません。記録すべき項目は以下のとおりです。

コスト区分 具体的な内容 記録方法
直接修繕費 交換部品費・消耗品費・外注修理費 発注伝票・領収書
内部工数コスト 保全員の対応時間 × 時間単価 保全記録(修理開始〜完了時刻)
生産停止損失 停止時間 × 設備の生産能力 × 単位時間あたりの売上・粗利 停止時刻記録+生産データ
品質ロス 故障起因の不良品・手直し品のコスト 品質記録との紐づけ
緊急割増コスト 緊急外注・時間外工数・特急部品調達費 発注記録

設備全体の保全体系については設備保全とは?種類・目的・進め方を解説、予防保全との使い分けについては予防保全とは?TBM・CBMの種類・メリット・導入ステップを解説もあわせてご参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 事後保全は「保全をしていない」のと同じですか?

計画的事後保全(Run-to-Failure)は、RCMのフレームワークに基づいて意図的に選択した保全戦略です。「影響軽微な設備は故障してから直す」と決め、修理体制を事前に整えておくのは合理的な保全です。問題は、戦略的な判断なしに結果として事後対応になっている「非計画BM」の状態です。

Q2. 事後保全のコストを削減するにはどうすれば良いですか?

事後保全の直接コストを下げるには、①修理標準手順書の整備(MTTRの短縮)②よく使う補修部品の最低在庫確保③緊急外注先の事前選定と契約が有効です。間接コスト(生産ロス)を減らすには、重要設備の事後保全から予防保全への移行を検討します。

Q3. 事後保全から予防保全へ移行するタイミングはいつですか?

以下のいずれかに該当した場合が移行の目安となります。①年間の突発故障コスト(修繕費+生産ロス)が予防保全コストを上回る ②同一設備・同一故障が年3回以上繰り返す ③故障による生産への影響が拡大する(ラインや顧客納期への影響が出始める)。

Q4. 中小企業は事後保全を続けるしかないですか?

そうではありません。すべての設備に予防保全を適用する必要はなく、重要度A設備(基幹設備)に絞って予防保全を導入し、C設備(補助設備)は計画BM運用のままでも構いません。限られた保全工数を重要設備に集中させることが現実的です。

Q5. 事後保全を記録する最小限の情報は何ですか?

①設備名・故障発生日時 ②故障症状・原因 ③対処内容と交換部品 ④修理完了日時 ⑤修理費用(部品費+工数時間)の5項目を記録します。この記録を蓄積することで、MTBFの算出と、予防保全移行の判断根拠が得られます。

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