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保全KPIの設定方法|製造業の保全部門の目標指標・測定・改善サイクル

保全KPIの設定方法|製造業の保全部門の目標指標・測定・改善サイクル

保全KPIとは

保全KPI(Key Performance Indicator:重要業績指標)とは、保全活動の効果・品質・効率を定量的に評価するための指標です。保全部門の活動は「設備が動いて当たり前」と見られがちで成果が見えにくいですが、KPIで設定・測定することで、経営層への説明・改善活動のPDCA・他部門との対話が可能になります。

保全KPIは「設備信頼性の指標」「保全効率の指標」「コストの指標」の3カテゴリから自社の課題に応じて選択します。

主要な保全KPIと計算方法

KPI 計算方法 目標水準(目安)
突発停止率 突発停止時間÷総稼働時間×100(%) 1%以下(優良ライン)
MTBF(平均故障間隔) 総稼働時間÷故障件数(時間) 月次でトレンドが延びているか確認
MTTR(平均修復時間) 総修復時間÷故障件数(時間) 重要設備:4時間以内が目安
計画保全比率 計画保全工数÷全保全工数×100(%) 80%以上(突発保全<20%)
計画保全実施率 実施した計画保全件数÷計画件数×100(%) 95%以上
OEE(設備総合効率) 時間稼働率×性能稼働率×良品率 製造業平均65〜75%・世界クラス85%以上
保全費率 保全費÷製造コスト×100(%) 2〜3%(突発多い現場は5〜8%)

KPI設定の手順

ステップ 内容
①現状の課題を特定する 「突発停止が多い」「保全費が増えている」「記録が残っていない」など主要な課題を洗い出す
②KPIの選択 課題に対応するKPIを2〜4個に絞る(多すぎると管理が形骸化する)
③現状値の計測 選択したKPIの現在値を測定する(記録がない場合は3ヶ月記録してから設定)
④目標値の設定 現状値を基に、1年後の達成目標値を設定する(ストレッチだが達成可能な値)
⑤測定・報告の仕組み化 月次でKPIを集計・グラフ化し、管理職・経営層に報告するサイクルを作る
⑥改善アクションの連動 KPIが目標未達の場合の原因分析・改善アクションを実施し、翌月に効果を確認する

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、工数不明層では損失を「把握できていない」が93.6%に達し(保全管理80%層18.3%)、KPIを測定する前提となる「保全工数の把握」自体が多くの現場で未整備であることが示されています。

KPIの報告と活用

  • 現場レベル:突発停止件数・計画保全実施率を週次で確認し、翌週の作業計画に反映する
  • 管理職レベル:MTBF・MTTR・計画保全比率を月次で集計し、原因分析と改善指示を行う
  • 経営層レベル:OEE・保全費率・停止損失額を四半期で報告し、設備投資・更新の意思決定に活用する

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、意思決定層が対策に関与している工場では「対策している」が97.5%に達し(非関与64.1%)、KPIによる根拠の可視化が経営層を保全改善に巻き込む有効な手段となります。

KPI管理でよくある失敗

失敗パターン 改善策
KPIが多すぎて管理が形骸化する まず2〜3個に絞り、定着してから追加する
測定はするが改善アクションにつながらない KPIに「目標未達時の対応責任者」を明確に設定する
記録がないためKPIが計算できない まず記録の仕組みを整備してから3ヶ月後にKPI設定する
目標値が現状と乖離しすぎて達成不可能 現状値の80〜90%改善から始め、段階的に目標を引き上げる

よくある質問(FAQ)

Q1. 保全KPIをゼロから始める場合、何から測定すればよいですか?
「突発停止件数と停止時間」だけから始めることを推奨します。故障が発生した際に①設備名、②停止開始・復旧時刻、③原因を記録する習慣を3ヶ月継続すれば、MTBFと突発停止率が計算できます。記録の習慣化が最初の障壁であり、これが定着してから他のKPIを追加していくことが現実的です。
Q2. OEEの計算で「性能稼働率」が測定できない場合はどうしますか?
まず「時間稼働率(設備が止まった時間の割合)」だけを計算します。時間稼働率=(稼働時間−停止時間)÷稼働時間×100で求められ、突発停止・計画停止のデータがあれば計算可能です。性能稼働率は生産実績データが必要なため、生産管理システムとの連携が必要です。まずは時間稼働率の改善から始め、後から完全なOEEを計算します。
Q3. 保全KPIの目標値はどのように設定すればよいですか?
①現状値を3ヶ月以上測定して把握する、②業界ベンチマーク(突発停止率1%以下・計画保全比率80%以上等)を参考にする、③現状値と目標の差を1〜2年で達成可能な範囲に設定する(いきなり2倍・3倍の目標は達成不能でモチベーション低下を招く)、の3ステップが基本です。
Q4. 保全費率(保全費÷製造コスト)の目安はありますか?
業界・設備の種類によって異なりますが、一般的な製造業では製造コストの2〜3%が保全費の適正水準とされています。突発停止が多い・老朽設備が多い現場では5〜8%に達することもあります。保全費率が高い場合は保全の方法(事後保全→予防保全への転換)の見直しが必要で、低すぎる場合は保全不足による将来のリスク(大規模故障・設備寿命短縮)が懸念されます。
Q5. 保全KPIを経営層に報告する際の工夫は?
①KPIの数字だけでなく「金額(損失〇〇万円)」に変換して報告する、②トレンドグラフで改善傾向を可視化する(「先月より〇%改善」を視覚的に示す)、③KPIと改善施策の因果関係を明示する(「予防保全強化→MTBF延伸→停止損失〇〇万円削減」という論理展開)、④競合比較・業界平均との対比で相対的な位置づけを示す、の4点が経営層の理解・承認を得やすい報告スタイルです。

保全KPI自動集計・ダッシュボード管理

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