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保全コストの見える化:設備別集計・予算設計・費用対効果の算定方法

保全コストの見える化:設備別集計・予算設計・費用対効果の算定方法

保全コストの見える化とは、設備の点検・修理・部品交換・外注費など保全に関わる費用を設備別・種類別・月別に集計・可視化し、コスト削減や保全投資判断の根拠として活用できる状態にすることです。多くの製造業では保全費用が「修繕費」としてまとめて計上されており、どの設備にどれだけのコストがかかっているか見えていません。保全コストを可視化することで、老朽設備の更新判断・保全方針の最適化・経営への投資説得が可能になります。本記事では保全コストの見える化手順・予算設計・費用対効果の算定方法を解説します。

1. 保全コストの種類と分類

保全コストの種類 内容・具体例 把握のポイント
予防保全費(PM費) 定期点検費・定期交換部品費・潤滑油・清掃用品。計画的に発生するコスト 保全計画に基づく予算化が可能。削減しすぎると突発故障増のリスク
修繕費(突発修理費) 故障修理の材料費・部品費・外注修理費・緊急対応費。予期しないコスト 突発修理費が多い設備は老朽化・予防保全不足のシグナル。設備別に集計する
保全人件費(内部労務費) 保全担当者の労務費。点検・修理・計画策定の時間×時間単価 見えにくいコスト。保全工数(時間)を記録しないと内部労務費が把握できない
外注費(保全委託費) 専門業者への定期点検委託費・修理外注費・設備メーカーの保守契約費 外注費は請求書で把握しやすい。契約内容の見直しでコスト最適化の余地が大きい
停止ロス(機会損失) 設備停止による生産損失(売上機会損失)。直接の費用ではないが保全の経営的コスト 「保全費を削減して故障が増えた結果の停止ロス」は保全費削減の何倍にもなる場合がある

2. 保全コスト見える化の実務手順

ステップ 内容 実施のポイント
Step1:保全コストの集計単位の設定 「設備別×月別」を最小単位として集計ルールを設定する。設備番号と経費科目のひも付けを行う 最初から細かくせず「設備ライン別×四半期」など粗い単位から始めて精度を上げる
Step2:保全作業の工数記録 保全担当者が実施した作業の時間を記録。内部人件費の基礎データにする 作業日報・タイムシートで記録。10〜15分単位で十分
Step3:部品・材料費の設備別配賦 購買した保全用部品・材料を使用した設備に紐づけて記録する 部品発注時に設備番号を明記するルールを徹底。請求書との照合を月次で実施
Step4:設備別コストの月次集計 Step2の労務費+Step3の材料費+外注費を設備別に月次集計する ExcelまたはCMMSの保全コスト機能で集計。前月・前年同月との比較を必ず実施
Step5:コスト分析と改善アクション コストが高い設備のトップ5を特定し、原因(修繕頻度・部品コスト・外注依存)を分析して対策を立案する 「コストが高い設備=問題設備」と判断し、更新検討・予防保全強化・部品標準化等の対策を検討
Step6:保全投資対効果(ROI)の算定 保全強化への投資額と、停止削減・品質改善・メンテナンス費削減による効果を比較。ROI算定で経営承認を取得する ROI=(削減できた停止損失+削減できた修繕費)÷(予防保全投資額)で計算

3. 保全費予算の設計と管理

保全費予算の設計方法

保全費予算の設計方法には①実績ベース(前年実績×補正係数):最もシンプルだが老朽化・設備増加に対応しにくい②設備ライフサイクルベース(設備別に今年度に計画する保全作業を積み上げて予算化):精度が高いが設備台帳・保全計画の整備が前提③比率ベース(売上高・資産価値に対する保全費比率を設定):業界水準との比較に有効(製造業の保全費比率の目安は売上高の2〜5%)の3つがあります。いずれの方法も「突発修理のバッファ(予防できない突発故障への備え)」を予算の10〜20%として確保することが重要です。

保全コストと停止損失の比較

保全コストの最適化で最も重要な視点は「保全費を削減した結果として停止ロスが増えていないか」の確認です。保全費を過度に削減すると突発故障が増え、停止損失(生産機会損失)が保全費削減額を大幅に上回る場合があります。設備別に「年間保全費+年間停止ロス」を合計した「真の保全コスト」を把握し、最適な保全レベルを設計することが経営的に重要です。

4. 現場実態:保全コスト管理の実情

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、紙・未導入工場で復旧コストの「詳細把握なし」と回答した割合は68.4%に達する一方、専用システムでは10.7%にとどまります。多くの工場で保全コストが設備別に把握できておらず、改善の優先順位が付けられない状態にあります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、社長層で保全費が「100万円未満」と回答した割合は56.5%に達する一方、全体では10.6%にとどまります。経営者の保全費認識が実態より低く、保全費が独立計上されていないか、内部人件費が含まれていない可能性があります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年5月実施、n=500)によると、保全工数が「わからない」と回答した層で損失を「把握できていない」割合は93.6%に達します。保全工数と保全コストは密接に連動しており、工数記録なしに保全コストの実態把握はできません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 保全費用のROI(投資対効果)はどう計算しますか?

保全費用のROI計算の基本式は「ROI(%)=(効果額÷投資額)×100」です。効果額の算出方法は①停止時間削減効果:削減した停止時間(時間)×時間あたり生産損失(円)②修繕費削減効果:対策前の年間修繕費−対策後の年間修繕費③品質改善効果:不良品削減数×単品の利益(円)の合計です。例として「年間200万円の予防保全投資で突発停止が月5時間→2時間に減少、時間あたり損失50万円の場合:効果額=削減3時間×12ヶ月×50万円=1800万円、ROI=1800万÷200万×100=900%」というように経営への説得材料になります。

Q2. 外注保全費用の適正水準はどう判断しますか?

外注保全費用の適正水準の判断は①同業他社との比較(業界団体・コンサルタントのベンチマーク)②設備台数・設備資産価値に対する外注費比率(設備資産価値の1〜3%が目安)③内製化との費用比較(内製した場合の人件費・設備費との比較)④外注品質・対応速度の評価(費用だけでなくパフォーマンスで判断)⑤契約内容の精査(包括契約か作業ごとの契約かで費用構造が異なる)の5点で評価します。特に「複数社から見積もりを取ることで相場観を確認する」ことと「定期的に契約内容を見直す」ことが外注費最適化の基本です。

Q3. 保全コストを経営報告に使えるレベルにするにはどうすればよいですか?

保全コストを経営報告に使えるレベルにするには①月次での設備別保全費集計(労務費+材料費+外注費)②前年同月比・予算比の対比表作成③コスト上位設備のリストアップと原因説明(「A設備:昨年比150%↑は軸受け連続交換が原因」)④停止損失との合計コスト表示(保全費+停止ロス=真の保全コスト)⑤改善施策と削減目標の提示(次期の保全計画変更・投資計画)の5点を月次報告書にまとめます。「保全費○○万円」だけでなく「停止ロス込みの真コストと対策」をセットで報告することで、経営層の保全への理解と投資意思決定が促進されます。

Q4. 保全部品のコスト管理はどうすればよいですか?

保全部品のコスト管理の基本は①設備別・部品別の年間使用量と金額の把握②ABC分析(使用金額上位20%の部品が全コストの80%を占めるかの確認。Aランク部品を重点管理)③適正在庫の設計(使用頻度・調達リードタイム・単価を考慮した在庫水準の設定)④まとめ発注・契約価格の見直し(高頻度使用部品はまとめ発注で単価を下げる)⑤標準化・互換性の確認(異なる設備で同じ部品を使えないか確認し、品番の統一化でコスト削減)の5点です。保全部品コストは「品番の多さ」「少量多品種の発注」によって割高になりやすく、定期的な整理が効果的です。

Q5. 内部保全労務費はどう計算・管理しますか?

内部保全労務費の計算方法は①保全担当者の時間単価を設定(年間人件費÷年間稼働時間。例:年収600万円÷2000時間=3000円/時間)②作業日報・タイムシートで設備別・作業別の保全工数(時間)を記録③工数×時間単価で設備別の内部労務費を月次集計、の3ステップです。「保全担当者が忙しい」という感覚的な議論を「A設備の月間保全工数は20時間(6万円相当)」という数値に変換することで、人員追加・外注化・設備更新の判断根拠が作れます。

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