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製造設備のダウンタイム:損失コストの算出と削減4ステップ

製造設備のダウンタイム:損失コストの算出と削減4ステップ

ダウンタイムとは、設備・生産ラインが何らかの原因で停止し、生産できない状態にある時間を指します。本記事では、ダウンタイムの定義と種類、損失コストの算出方法、削減に向けた具体的なステップ、さらに現場と経営層の認識ズレという見落とされがちな問題まで解説します。

1. ダウンタイムの定義と種類

ダウンタイムは大きく「突発(計画外)停止」と「計画停止」に分類されます。この2種類を区別して記録・管理することが、削減対策の設計において重要です。

区分 発生原因 対策方向 OEE上の分類
突発(計画外)停止 故障・機能低下・品質不良による緊急停止 予防保全の強化・故障分析・部品在庫整備 可用性ロス
計画停止 定期メンテナンス・清掃・段取り替えなど計画された停止 計画の最適化・段取り時間の短縮 計画停止(OEE対象外)
チョコ停 短時間の詰まり・センサー誤検知・軽微な調整 発生パターン分析・設備改良 可用性ロス
速度低下 設備劣化・条件設定不良による定格速度未達 劣化診断・条件の最適化 性能ロス

OEE(設備総合効率)の観点では、突発停止とチョコ停は「可用性ロス」として算出されます。計画停止は稼働時間の定義から除外して計算するのが一般的ですが、計画停止時間自体を削減することも生産性向上につながります。

2. ダウンタイムの損失コストを正確に算出する

ダウンタイムの損失を「停止した時間」だけで評価していると、本当のインパクトを見誤ります。損失コストには修理費だけでなく、生産損失・人件費・不良廃棄・機会損失が含まれます。

損失の種類 内容 計算のポイント
生産損失 停止中に製造できなかった製品の粗利相当 時間当たり生産量 × 停止時間 × 粗利率
修理・部品費 突発修理の部品代・外注費 実費(請求書・伝票から算出)
人件費(残業) 遅延回復のための残業・代替シフトコスト 残業時間 × 人数 × 残業単価
不良・廃棄損 停止直前・直後の品質不良による廃棄 廃棄量 × 材料費
機会損失 納期遅延による受注機会の損失・ペナルティ 案件ごとに個別算出

しかしこれらを正確に算出できている工場は少ないのが現実です。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、保全工数を把握できていない層では「停止による損失を把握できていない」と回答した割合が93.6%にのぼる一方、保全活動が整備されている層では18.3%にとどまります。損失が数値で見えない限り、経営層への改善投資の根拠を示すことはできません。

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3. ダウンタイム削減の4ステップ

ダウンタイムを削減するには、感覚や経験に頼った対処から、データに基づく体系的なアプローチに切り替える必要があります。以下の4ステップが基本的な進め方です。

ステップ1:停止を記録する(可視化)。停止の日時・設備・停止理由・復旧時間を毎回記録します。記録がなければ傾向分析ができません。最初は紙でも構いませんが、後から集計できるフォーマットを統一することが重要です。

ステップ2:データを集計して原因を分析する。1か月〜3か月分の記録を集計し、「どの設備が多いか」「どの原因が多いか」「どの時間帯に集中しているか」を分析します。パレート図(多い順に棒グラフ化)を使うと、重点対策対象が明確になります。

ステップ3:根本原因への対策を立案・実施する。頻発する故障原因に対して予防保全計画を策定します。突発故障の多い設備には予防的部品交換・センサー監視・定期点検の強化を組み合わせます。

ステップ4:効果を確認して改善サイクルを継続する。対策実施後の停止時間と損失コストを再集計し、対策前との比較で効果を確認します。改善したデータは次の保全投資の根拠として経営層へ報告します。

4. 現場と経営層の「停止時間」認識ズレという落とし穴

ダウンタイム管理において、見落とされがちな問題が現場と経営層の認識ズレです。経営者は「すぐに直った」と認識していても、現場では長時間停止として記録されていることがあります。この認識ズレが放置されると、改善投資の必要性が経営層に伝わらず、予算が確保されない悪循環に陥ります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、社長・経営者層で「突発停止の復旧が1時間未満」と回答した割合が84.4%なのに対し、全体平均では58.7%にとどまります。経営者が停止時間を短く認識しているケースが多く、現場の深刻さが伝わっていない実態があります。

認識ズレを解消するには、停止記録のデータを定期的に経営層へ報告する仕組みが必要です。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用システムを利用している工場では停止損失を「詳細に把握できている」割合が45.3%なのに対し、紙管理の工場では4.3%にとどまります。データで損失を示せるかどうかが、経営層の意思決定を左右します。

5. まとめ:ダウンタイム削減は損失の可視化から始まる

ダウンタイムの削減は、停止を記録する→損失を算出する→原因を分析する→対策を実施するというサイクルの確立から始まります。記録なきところに改善なし、というのが保全管理の鉄則です。

ダウンタイムはOEEや保全KPIとも密接に関連します。設備保全活動の全体像については設備保全とはも参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q. ダウンタイムとOEEはどう関係しますか?
OEE(設備総合効率)は「可用性 × 性能 × 品質率」で計算されます。突発停止によるダウンタイムは「可用性」の低下に直結します。例えば稼働予定時間8時間のうち1時間停止していれば可用性は87.5%です。OEEを改善するには、この可用性ロス(ダウンタイム)を減らすことが最も効果的な打ち手の一つです。
Q. チョコ停とダウンタイムの違いは何ですか?
明確な定義は工場によって異なりますが、一般的にチョコ停は「数分以内に自動または手動で復旧する軽微な停止」を指し、ダウンタイム(停止)は「保全担当者の介入が必要な停止」と区別されます。チョコ停は件数が多くなりやすく、合計すると大きな損失になるため、個別記録ではなく頻度・傾向の管理が重要です。
Q. ダウンタイムの目標値はどう設定すればよいですか?
最初は現状の月次平均ダウンタイム率(停止時間÷稼働予定時間)を計算し、3〜6か月での10〜20%削減を第一目標とするのが現実的です。業界ベンチマークとしてはOEE80%以上(可用性90%以上)が一つの目安ですが、現状からの改善幅で目標設定する方が現場の動機づけになります。
Q. ダウンタイムを減らすために最初にやるべきことは何ですか?
「停止を記録する」ことです。発生日時・設備名・停止理由・復旧時間の4項目を毎回記録するだけで、1か月後には「どの設備が問題か」「何が原因か」のデータが揃います。記録なしに対策を始めても、効果の確認ができず改善が継続しません。
Q. ダウンタイムのコストを経営層に説明するにはどうすればよいですか?
停止1時間当たりの損失額を計算して伝えるのが効果的です。「時間当たり生産量 × 粗利率」で算出した生産損失に、修理費と残業コストを加えると停止のトータルコストが可視化されます。「先月の突発停止3件で合計○○万円の損失が発生した」という形で伝えると、予防保全への投資の正当性を説明しやすくなります。

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