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段取り改善(SMED):製造業での段取り時間短縮の手順・事例・効果の実務解説

段取り改善(SMED):製造業での段取り時間短縮の手順・事例・効果の実務解説

段取り改善とは、製造ラインの品種切り替え・設備の準備・金型交換などに要する「段取り時間(チェンジオーバータイム)」を短縮することで、生産効率・稼働率・多品種対応力を向上させる改善活動です。段取り時間を半分にするだけで、同じ生産能力でより多くの品種を少ロットで生産できるようになり、納期対応力と在庫削減が同時に実現します。本記事ではSMED手法を中心に段取り改善の実務手順を解説します。

1. 段取り時間の構成と分類

段取り時間の区分 内容・具体例 改善の方向性
内段取り(設備停止中の作業) 設備を止めなければできない作業:金型交換・治工具の取り付け・調整・試し打ち 外段取り化(設備停止中に行う作業を事前準備に移す)・作業の並列化・ワンタッチ化
外段取り(設備稼働中の作業) 前生産の終了前・設備稼働中に事前準備できる作業:次品番の金型準備・材料の配置・治工具の洗浄 外段取りとして確立・事前準備のチェックリスト化・専任担当者の設定
調整時間 金型取り付け後・加工条件の再現のための試し打ち・微調整・測定確認の時間 調整レス化(過去の最適条件の記録・再現)・デジタル設定によるワンタッチ再現
段取り前後の作業 使用済み金型の洗浄・保管・次回使用に向けた整備・工具の返却・清掃 段取り完了後の後処理の標準化・専用保管場所の設定・5Sとの連動

2. SMED手法による段取り改善の手順

ステップ 内容 具体的な取り組み
Step1:現状の段取り作業の観察・計測 実際の段取り作業をビデオ撮影・ストップウォッチ計測。作業要素別の時間を詳細に分析する 作業要素リストの作成・時間分析表の作成。「何にどれだけ時間がかかっているか」の見える化
Step2:内段取りと外段取りの分離 現在「内段取り(設備停止中)」として行っている作業を「外段取り(事前準備)」に移せるものを特定する 各作業要素について「設備を止めなければできないか?」を判定。外段取り化できる作業をリストアップ
Step3:内段取りの外段取り化 外段取り化できると特定した作業を、実際に事前準備として実施する手順・タイミングを設計する 前バッチ終了前の準備チェックリスト作成・専任担当者の役割分担・準備置き場の設定
Step4:残った内段取りの短縮 設備停止中に行う作業を素早く・確実に行うための工夫(ワンタッチ化・並行作業化・ガイド・ストッパー追加) ボルト→クランプへの変更・位置決め治工具の製作・2人同時作業の設計・調整値のデジタル記録
Step5:調整時間の削減・ゼロ化 試し打ち・微調整の時間を最小化するために、加工条件の再現精度を高める 過去の最適条件のデジタル記録・段取りパラメータシートの整備・センサー・デジタル計測器の活用
Step6:標準化と水平展開 改善した段取り手順を標準作業として文書化。他設備・他品番への水平展開 段取り標準書の作成・動画マニュアルの整備・他ラインへの横展開計画の立案

3. 段取り改善の効果と推進のポイント

段取り改善がもたらす効果

段取り時間の短縮がもたらす主な効果は①稼働率の向上(段取り中は生産ができないため、段取り時間短縮=生産時間増加)②小ロット生産・多品種対応力の向上(段取りコストが下がると小ロットの経済性が成り立つ)③在庫削減(まとめ生産の必要性が下がり、必要量を必要なタイミングで生産できる)④納期対応力の向上(品種切り替えが短時間でできるため急ぎ品への対応が容易になる)⑤段取りミスによる不良削減(標準化・チェックリスト化で段取りミス起因の不良が減る)の5点です。

段取り改善を定着させるための仕組み

段取り改善の成果を継続させるためには①段取り時間の定期的な計測と記録(改善前後の比較・月次モニタリング)②段取り標準書の更新(改善が進むにつれて標準を更新し続ける)③段取り担当者へのスキル評価・認定(段取りを確実に実施できる人材の育成・評価)④設備保全と段取り改善の連携(設備の精度劣化・ガタが調整時間増加の原因になることがある)⑤段取りデータの生産管理システムへの連携(段取り実績を生産計画に反映して計画精度を向上)が重要です。

4. 現場実態:生産効率化・DXの実情

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年10月実施、n=500)によると、小規模工場(1〜99人)でDXが「計画も検討もしていない」と回答した割合は41.5%に達します。段取りデータのデジタル記録・段取りパラメータのシステム管理が行われていない現場では、過去の最適条件が属人的に管理されており、担当者交代のたびに調整時間が長くなるという問題が繰り返されます。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年5月実施、n=500)によると、DX進捗が「一部進んでいるが十分でない」と回答した専用システム導入済みの割合は43.5%に達します。段取り改善は設備管理・生産管理・品質管理のデータが連携されてはじめて最大効果を発揮します。システムが個別に導入されていてもデータが連携されていない「サイロ化」が改善速度の壁となっています。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、DXが一部進展した工場で「改善サイクルを高速化したい」と回答した割合は68.6%に達します。段取りデータ(実績段取り時間・調整値・品種別条件)の蓄積と分析が改善アクションの根拠となり、改善サイクルの加速につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 段取り改善と設備投資はどちらを先にすべきですか?

段取り改善と設備投資の順序は「まず段取り改善を行い、残った課題に設備投資で対応する」が原則です。段取り改善(SMED手法)は設備を変えずに作業方法・順序・準備を変えることで効果を出せるため、投資コストが少なく即効性があります。段取り改善で達成できる短縮余地を使い切った後に、残った課題(自動工具交換・デジタル設定再現等)を設備投資で解決する方が費用対効果が高いです。ただし、設備の機構的な制約(ボルト固定が構造上の要件の場合等)は改善だけで解決できないため、設備改造・設備更新が先に必要なケースもあります。

Q2. ビデオ撮影で段取り分析を行う際のポイントは何ですか?

段取り作業のビデオ撮影・分析のポイントは①撮影前に段取り担当者の同意を得て「改善のための分析であって評価目的ではない」ことを伝える②設備全体が映る位置から撮影し、手元の細かい作業には別カメラを使う③ストップウォッチで作業要素の開始・終了時刻を記録する④撮影した映像を元に「作業要素リスト」を作成し(工程・作業内容・時間)の表に整理する⑤作業者本人と一緒に映像を見て「内段取り・外段取りの分類」と「改善のアイデア」を出し合う、の5点です。作業者の協力なしに改善は進まないため、「一緒に改善する」姿勢が最も重要です。

Q3. 調整時間を短縮するにはどうすればよいですか?

調整時間(試し打ち・微調整の時間)の短縮には①過去の最適加工条件(金型・材料・設備の組み合わせごとの条件)をデジタルで記録・管理し、次回段取り時に即座に参照できる「条件データベース」の構築②設備のデジタル設定(数値入力で条件を再現できる設備への更新・改造)③精度の高い位置決め治工具・ガイドの製作(金型の取り付け位置のバラつきをなくして調整不要にする)④材料の品質・寸法バラつきの管理強化(材料のバラつきが調整時間増加の原因となることが多い)⑤初品のOK基準の明確化(「どの状態になれば本番生産OKか」を定義して不要な調整を防ぐ)の5点が有効です。

Q4. 段取り改善の効果をどう測定・管理しますか?

段取り改善効果の測定・管理は①段取り時間の計測(設備停止〜生産再開までの実績時間を毎回記録)②段取り時間の目標値設定(改善前の時間を基準に目標値を設定:例「現状60分→目標30分」)③段取り時間のトレンド管理(週次・月次で推移をグラフ化)④段取り起因の稼働損失時間のOEEへの反映(段取り時間は設備稼働率の損失として計算)⑤品種別・設備別の段取り時間の比較分析(改善効果が薄い品番・設備を特定)の5つです。CMMSや設備管理システムに段取り時間を記録できる機能があると、稼働損失の全体像とともに段取り改善の効果が可視化されます。

Q5. 段取り改善活動を継続させる仕組みはどのように作りますか?

段取り改善を継続させる仕組みのポイントは①「段取り時間の記録・計測」を日常業務に組み込む(計測しなければ改善が進んでいるか見えない)②段取り改善の目標を生産KPIに組み込む(OEE・稼働率・段取り時間の目標値を設定)③小さな改善も積極的に評価・表彰する(改善提案件数・時間短縮実績を見える化)④段取り標準書を「変えていいもの」として運用する(より良い方法が見つかれば更新するルールを作る)⑤段取り改善を「一時的なプロジェクト」ではなく「日常の保全・改善活動の一部」として位置づける、の5点が長期的な継続のカギです。

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