Topコンテンツライブラリ企業のお客様予防保全とは?TBM・CBMの種類・メリット・導入ステップを解説【製造業向け】
予防保全とは?TBM・CBMの種類・メリット・導入ステップを解説【製造業向け】

予防保全とは?TBM・CBMの種類・メリット・導入ステップを解説【製造業向け】

予防保全とは、設備が故障する前に定期的な点検・部品交換・整備を実施し、計画外の停止を未然に防ぐ保全方式の総称です。故障してから修理する事後保全(BM)と対比され、製造現場では「定期保全(TBM)」と「状態基準保全(CBM)」の2種類を組み合わせて運用することが多くあります。予防保全の進め方を正しく理解することは、突発停止の削減・保全コストの最適化・安全管理の強化に直結します。本記事では予防保全の定義・種類・メリット・デメリット、TBMとCBMの違い、および中小製造業が実践できる導入ステップを図表と調査データで解説します。

1. 予防保全の定義と目的

予防保全(Preventive Maintenance:PM)は、JIS Z 8141(生産管理用語)において「故障を未然に防ぐことを目的として、設備の使用中に行う点検・整備・修理」と定義されています。設備保全全体の体系については、設備保全とは?種類・目的・進め方を解説も合わせてご参照ください。目的は大きく3つに分類できます。

目的 具体的な効果
計画外停止の削減 突発故障による生産ラインの緊急停止を防ぎ、稼働率を維持する
修繕コストの最適化 小修繕を定期実施することで、大規模な設備損傷・交換コストを抑制する
安全・法令遵守 労働安全衛生法・消防法等が定める定期点検義務を計画的に履行する

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)では、専用の保全管理システムを利用している工場でも「定期点検の未実施」が設備停止原因の37.3%を占めていました。予防保全の計画は立案されていても、実施状況を管理する仕組みが整っていないことが背景にあります。計画を「実行する体制」まで落とし込むことが、予防保全の目的を達成するうえで最も重要な鍵となります。

2. 予防保全の2種類:TBMとCBMの違い

予防保全は実施トリガーの違いにより、TBM(時間基準保全)CBM(状態基準保全)に分類されます。TBMとCBMの違いを正しく理解することで、設備特性に合った保全方式を選択できます。CBMの詳細についてはCBM(状態基準保全)とは?導入方法と活用事例を解説も参照ください。

区分 正式名称 実施タイミング 主な手法 適した設備
TBM Time-Based Maintenance(定期保全) カレンダー・稼働時間の一定間隔 定期点検、部品定期交換、オーバーホール 故障モードが摩耗・劣化で明確な設備(ポンプ、コンベア等)
CBM Condition-Based Maintenance(状態基準保全) センサー・点検で検出した劣化兆候 振動解析、油中粒子分析、温度モニタリング 故障前兆を定量的に検出できる設備(モーター、回転機械等)

TBMは実施計画が立てやすく管理コストが低い反面、部品に余寿命が残った状態で交換する「過剰保全」が発生しやすくなります。CBMは設備の実際の状態に基づくため保全コストを最適化できますが、センサー・解析技術への初期投資が必要になります。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年10月実施、n=500)では、小規模工場のDX未着手率が41.5%に達しており、センサー導入を前提とするCBMへの移行ハードルが中小製造業では依然として高い実態があります。まずTBMを確実に運用することが、多くの現場での現実解となっています。

3. 事後保全・予知保全との違い

設備保全の4分類と予防保全の位置づけを整理します。予知保全(PdM)との違いについては予知保全とは?CBMとの違い・AI活用・製造業での導入事例を解説も合わせてご参照ください。

種類 実施タイミング コスト傾向 停止リスク 主な適用場面
事後保全(BM) 故障発生後 低(軽微設備)〜高(突発大修繕) 故障しても影響が軽微な補助設備
予防保全:TBM 定期(時間・使用量基準) 中(過剰保全リスクあり) 劣化パターンが明確な設備
予防保全:CBM 劣化兆候検出時 低〜中(最適化可能) 低〜中 センサー導入済みの重要設備
予知保全(PdM) AI・統計モデルが故障を予測した時点 高(初期導入) 停止損失が極めて大きい基幹設備
改良保全(CM) 保全性・信頼性の改善が必要な時点 中〜高 繰り返す同一故障への根本対策

4. 予防保全のメリットとデメリット

予防保全メリットは突発停止の削減や修繕費の平準化にあり、適切に設計すれば保全費用対効果は高くなります。一方で、過剰保全・点検精度の問題といったデメリットも理解しておく必要があります。

項目 メリット デメリット・留意点
稼働率 突発停止を削減し、計画外の生産ロスを防ぐ 整備のための計画停止は必要
コスト 大規模故障・緊急修繕を防ぎ、修繕費を平準化できる TBMでは余寿命廃棄(過剰保全)が発生しやすい
品質 設備状態の安定化により、製品品質のばらつきを低減できる 点検精度が低いと見落としが残る
安全 定期点検で危険箇所を早期発見できる 点検作業そのものに労働災害リスクが伴う
計画性 整備日程を事前に確定でき、資材・人員を計画調達できる 実績データがないと適切な周期設定が難しい

5. 現場実態:調査データが示す予防保全の課題

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)によると、専用の保全管理システムを利用している工場でも「定期点検の未実施」が設備停止原因の37.3%を占めていました。計画は立案されているが、実施状況の管理が徹底できていないことが背景にあります。

同調査では、工数管理が不明確な工場において突発停止への対策が「なし」と回答した割合が26.1%に上り、工数を80%以上把握している工場(4.2%)の6倍以上の水準でした。保全担当が明確でない組織では、予防保全の計画が策定されても実行責任者が不在になるリスクがあります。

八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)では、部長層の56.2%が予知保全・予防保全をTop3の設備投資優先項目に挙げたのに対し、社長層では22.9%にとどまりました。停止ロスを日常的に目にする中間管理職ほど、予防保全の必要性を強く認識している実態が分かります。

また、八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年5月実施、n=500)では、設備台数が「わからない」と回答した非利用層が32.2%に達しました。台帳なしの状態では予防保全の対象すら定義できず、体系的な保全計画の立案が困難になります。さらに同調査では部品点数が「わからない」と答えた非利用層が56.1%(全体39.2%)に上り、部品マスタの欠如が欠品・属人購買の温床になっている実態が明らかになっています。

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6. 予防保全の対象設備選定:優先順位のつけ方

全設備に等しくTBMを適用すると、保全コストと工数が過剰になります。設備をリスクと保全効果で分類し、優先順位を設定することが重要です。計画保全の全体的な設計については計画保全とは?TBM・CBMの計画立案と管理の進め方も参照ください。

クラス 選定基準 推奨保全方式
A(重要設備) 停止で生産全停止 / 安全・環境影響が大きい TBM+CBM併用 / 予知保全を検討 基幹コンプレッサー、メイン搬送ライン
B(中重要設備) 停止で部分的な影響、代替機あり TBM(定期点検・部品交換) サブポンプ、加工センター
C(一般設備) 故障しても即時の生産影響が軽微 事後保全(BM)中心+簡易日常点検 補助照明、換気扇

設備クラスの分類にはFMEA(故障モード影響解析)やRCM(信頼性中心保全)のフレームワークが活用できます。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)では、11〜100台の設備を管理する工場で「点検コスト最適化に役立つ」と回答した割合が73.6%(管理対象なし25.0%)に達しています。設備数が増えるほどクラス分類と優先度管理のROIが高まることが、データからも裏付けられています。

7. 中小製造業が実践できる予防保全の進め方:5ステップ

予防保全の進め方として、以下の5ステップが中小製造業の現場で実証されています。保全KPIの設定・管理については保全KPIとは?MTBF・OEE・計画保全実施率の設定と管理方法も合わせてご参照ください。

Step 1:設備台帳の整備

保全対象を確定するため、全設備の型番・設置日・仕様書・過去の故障履歴を一元化します。設備台帳がなければ保全対象が曖昧になり、点検漏れが生じます。最初は主要生産ラインの20〜30台から着手するのが現実的です。前述の調査では「設備台数がわからない」工場が32.2%に達しており、台帳整備は予防保全の出発点として最も優先度が高いタスクです。

Step 2:設備クラス分類(A/B/C)

停止影響度・故障頻度・修理コストを基準に各設備をA/B/Cに分類します。クラスAに分類された設備から優先的に保全計画を立案することで、限られた保全工数を効果的に配分できます。

Step 3:TBM計画の策定

A・B設備を対象に点検周期・内容・担当者を決定します。初期設定はメーカー推奨周期を基準に、故障履歴・稼働率・使用環境(高温・腐食・粉塵)を加味して調整します。TBMとCBMの違いを踏まえ、センサー計測が可能な設備については状態監視との組み合わせを検討します。

Step 4:実施管理と記録

点検・整備の実施日・作業者・結果(測定値・部品交換有無)を記録します。紙帳票での運用も可能ですが、複数設備・複数拠点では保全管理システムの導入が実施率向上に直結します。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2025年3月実施、n=500)では、専用システム利用者の「定期的に記録」する割合が50.0%に対し、非利用者は13.5%にとどまっており、システム活用による習慣化の効果が確認されています。

Step 5:データに基づく周期見直し

MTBF(平均故障間隔)や実績故障データを集計し、過剰保全(余寿命廃棄)や過少保全(周期が短すぎ故障発生)がないかを定期的にレビューします。PDCAを回すことで予防保全メリットを最大化しつつ、保全コストと停止リスクのバランスを最適化できます。

8. 予防保全の効果を測るKPI

予防保全の導入効果を定量的に評価するには、以下の5指標を活用します。MTBF(平均故障間隔)の詳細な計算方法・改善手法については別記事で解説しています。

KPI 計算式・定義 目安
MTBF(平均故障間隔) 稼働時間合計 ÷ 故障件数 前年比10〜20%改善
計画保全実施率 (実施件数 ÷ 計画件数)× 100 95%以上
突発停止件数・時間 計画外停止の件数と時間を集計 前年比20%削減
保全費用対売上比 保全コスト ÷ 売上高 × 100 業種平均(2〜5%)以下
OEE(設備総合効率) 可用率 × 性能効率 × 品質率 80%以上(World Class水準)

よくある質問(FAQ)

Q1. TBMとCBMはどちらを先に導入すべきですか?

センサー・計測機器が未整備の場合、まずTBMから着手するのが現実的です。TBMとCBMの違いとして、TBMはメーカー推奨の定期点検を確実に実施するだけでも突発停止を大きく削減できる点が挙げられます。CBMはTBMで実績データが蓄積されてから、対象設備を絞って段階的に導入することを推奨します。

Q2. 予防保全の点検周期はどう決めますか?

初期設定はメーカー取扱説明書・保全マニュアルの推奨値を使います。運用開始後は故障履歴(MTBF)と部品の実際の摩耗状況を参照し、6〜12か月ごとに周期を見直します。稼働率・環境条件(高温・粉塵・腐食)が厳しい設備は周期を短縮します。

Q3. 中小企業でも予防保全は実現できますか?

可能です。保全専任者がいない企業でも、設備台帳の整備・日常点検チェックシートの標準化・保全管理システムの活用で体系的な予防保全を実践できます。まず自社の主要ライン5〜10台に絞った小さな運用から始めることを推奨します。

Q4. 予防保全と保全費用の削減は両立しますか?

適切に設計すれば両立します。突発故障による緊急修繕・残業・生産ロスは、計画的な定期整備コストを上回ることが多くあります。ただし、TBMで過剰保全(余寿命廃棄)が多発している場合は、CBM移行や点検周期の延伸によりコスト削減が可能です。予防保全メリットを最大化するには、保全費率(保全費÷売上高)を定期的にモニタリングすることが重要です。

Q5. 予防保全の記録は何を残せばよいですか?

最低限、①実施日時・②作業者・③点検内容と結果(正常/異常・測定値)・④消耗品の交換有無・⑤次回実施予定日の5項目を記録します。記録の蓄積がMTBF算出・保全周期の最適化・ベンダーとの価格交渉根拠として機能します。

Q6. 予防保全と予知保全はどちらが良いですか?

設備の重要度・センサー整備状況・予算によって使い分けます。予防保全(TBM)は導入コストが低く即実践できる点が強みです。予知保全はAI・データ活用で保全タイミングを最適化できますが、初期投資が大きくなります。一般的には予防保全で基盤を整えてから、基幹設備を対象に予知保全を段階的に導入するロードマップが効果的です。

Q7. 保全担当者がいない工場でも予防保全の進め方はありますか?

あります。八千代ソリューションズ株式会社によるオンライン調査(2024年12月実施、n=500)では、10人未満の工場で保全専任者が「いない」割合が53.6%に達しています。このような現場では、オペレーターによる日常点検チェックリストの整備と外注保全会社との定期契約を組み合わせたアプローチが現実解です。保全管理システムで作業指示・記録・スケジュール管理を自動化することで、専任者なしでも計画保全実施率を高めることができます。

Q8. 予防保全の導入効果はどのくらいの期間で出ますか?

設備台帳整備・TBM計画策定・点検実施の3ステップを整えた段階(着手後3〜6か月)で、突発停止件数の減少が確認できるケースが多くあります。MTBF改善・保全費率低下など定量的な効果が出そろうには6〜12か月を要することが一般的です。効果測定のためにも、導入前に現状のMTBF・突発停止件数・保全費率の基準値を計測しておくことが重要です。

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